注目していたRBA会合は見方の分かれる内容となりました。テーパリングを開始し、国債の買い入れ額を50億から40億にすることが決まりましたが、国内買入期間を終了し第三弾の買い入れも実施、月々の買い入れ額は減らすが買入期間は延長する。そして、サプライズだったのがフォワードガイダンスの修正です。利上げは早くて2024年としていたこれまでの見方から「早くて」が削除され2024年までの利上げは見込まないという表現に変わり、多少利上げ時期が前倒しされたことが確認されました。13時半の金利据え置き発表後、次第に出てくる材料を1つ1つ市場も探りながら反応し始め、当初まちまちだった動きが次第にポジティブな内容を重視して豪ドル買いに反応していきました。この好悪混ざるような内容のどちらがトレンドを作っていくのかはしばらく様子見です。
対してNZはANZ銀行に続き、ASB銀行アナリストも利上げ開始時期を2022年から2021年11月に前倒し、NZには利上げ期待がますます強まっています。チャートを見ると日足は21日線で上値をガッチリ抑えられていますが、月足チャートをでは一目均衡表で雲の上限がちょうど秋にかけて下がり、上値抵抗ゾーンが一気に縮小します。秋というとちょうど利上げ時期について言及されている時期ですから、テクニカル的な大きな変化も合わせて年末に向けて動きが期待できるかもしれませんね。月足の一目均衡表の雲抜け示現となれば、2016年以来の変化です。
改めて現在の為替の一番の買い材料は「テーパリング」や「利上げ期待」ですが、次第に金融政策の正常化に向かい始める国が出始めている背景には、コロナによる経済危機からの回復もあり、また量的緩和であふれたマネーが向かった先である住宅価格の高騰もインフレを加速させていく大きな要因です。直近で発表された不動産仲介会社の世界住宅価格指数のランキングを見ると、3月までの1年間で住宅価格は平均7.3%上昇で2006年の住宅バブル以来の高い伸びとなりました。国別では1位トルコ(+32%)、2位NZ(+22.1%)、5位アメリカ(+13.2%)、7位豪(+12.3%)となっています。アメリカの4月ケースシラー住宅価格は前月比+14.59%となり、1988年の統計開始以来の最高です。こうした住宅価格の上昇がその他に追従する形でインフレが加速し始めるようになると、金融政策の引き締め熱が一段と加速していきそうです。今は「一過性のインフレ上昇」と見るような声明、発言が見られますが、一過性という見通し、文言に変化が出てくると利上げ期待の動意が強まりそうですね。
※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。
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