金融市場は全体的にリスクオフ地合いになってきました。ドル円相場は110円を挟んでの小動きですが、クロス円は総じて大きく値を消しています。特にオセアニア通貨の崩れが目立ちますが、中でも豪ドル円は完全に200日線を下回ってきました。これは2020年6月1日に上回って以来約1年1ヵ月ぶりの大きな変化です。オーストラリアでもデルタ株の感染が広がっており、大都市シドニーはロックダウンに入って3週間が経過しても新規感染者が増加していること、他地域もロックダウン措置になるなど経済への影響が大きく懸念される時代になっている点が豪ドルの戻りを鈍くしています。
同様にNZドルも200日線を一時的に割り込みましたが、引けは上回って終わっており、完全な下抜けにはなっていません。早期利上げ期待が強まるNZドルですから、下げたところは押し目買い方針。これは豪ドルも同様ですが、こちらはもう少し押し目があるのではないかとみており、まずNZドル円打診買いと考えます。
またコロナの制限を全面解除したイギリスですが、デルタ株感染者が増える中、ジョンソン首相も隔離措置になるなど先行きが不透明です。ポンドは対ドルで下げており、豪ドル同様昨年7月に200日線を上回って以来約1年ぶりに割り込みました。フランスもコロナ第4波に突入を表明するなど、世界のあちこちでデルタ株の新たな拡大基調に警戒する雰囲気です。
さて、8月というと中国の北戴河会議が今年も行われると予想されます。日程的には恐らく8月第1週の週末辺りというのが例年のスケジュールです。共産党指導部と長老が北京近郊の北戴河に集まって密談をする完全非公開会合にて、過去には会合直後に連日の人民元切り下げ(チャイナショック)が行われたり、米中問題や香港情勢についての協議が行われるなどマーケットに影響の出る出来事が話し合われるなど、なにがしかの流れが出来たり、出来事があるなどする起点になります。ただし、習近平国家主席の長期政権に対する反発も非常に強く2020年は内憂外患を憂慮しかなりの激論が交わされ会期が延びたたという話もあります。
中国は7月1日に共産党創立100周年を迎え、今年前半の大きなスケジュールが通過しました。後半は目ぼしい政治日程も発表されていませんので、今年は北戴河以降にこうしたスケジュール等も決定されるかもしれませんね。
※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。
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