いよいよ秋相場目前となってきました。なんといってもここから年末に向けて最大の注目はFRBがテーパリングに舵を切るかどうかです。一部総裁(投票権無し)からは今秋のテーパリング開始、9月発表を支持するといった具体的な発言も出てきており、18日のNY時間に公表された7月FOMC議事録で「ほとんどの参加者が今年中にテーパリング開始することが適当」と判断したとあり、一気に市場がテーパリングに現実味を帯びてきました。株価は売られ、ドルは堅調です。まずは来週26日からのジャクソンホール会合で何らかのメッセージがあるか?
これに懸念があるとしたら議事録でも触れられた通り「デルタ株の拡大」です。直近で出てきているアメリカの経済指標に陰りが見られ、その背景にデルタ株への警戒があることから、指標が足踏みするようだとテーパリングを急ぐ必要が無いという判断になる可能性もあります。ワクチン接種率が足踏み状態になる中、デルタ株の感染拡大が強まっており、またタリバンが20年ぶりにアフガニスタンを制圧するなど地政学リスクが台頭してきて、バイデン政権の支持率が低下するなどちょっと嫌な雰囲気が強まってきました。ただ、イエレンFRB議長時代に利上げが遅れて非難されたことも間近で見てきた調整型のパウエル議長ですから、前段階のテーパリングは躊躇なく進めていくことが現実的と思われます。米株価にとっては好ましいとは言えずとも史上最高値を更新し続けた最高値圏ですから及び腰になるような状況とは言えません。来週のジャクソンホール会合を経て、9月21-22日のFOMCに向けてドルは多くの通貨に対して買われていく地合いになりそうです。
ただ、コロナが足を引っ張った一例が、今週のNZです。早ければ8月会合で25bpの利上げという市場予想が強まっていましたが(2年債はあまり反応していなかったので市場予想とマーケットに乖離あり)、RBNZ会合前日の17日夜から市中で感染者が1名出たことでNZがロックダウンに入り、NZドルは対円で200日線割れ、RBNZは「ロックダウンという不確実性が高まっていることを考慮して政策金利を変更しないことで合意」とし金利の据え置きを決定しました。
NZドルだけ考えるとここはかえっていい押し目になったのではないかと思いますが、各国中銀会合を多く控える9月は感染拡大による金融政策の急な方針転換はまた遭遇する可能性があることは念頭に置いておきましょう。
※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。
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