各国で始まる経済正常化2021.10.29

 27日の金融政策決定会合でカナダ中銀は、20年の春、コロナ禍で経済下支えのために始まった量的緩和の終了を公表しました。当面は物価2%を目標に低金利を続けるが、22年の早い段階で達成が可能な経済であるとし、従来22年後半と言われていた利上げ時期が早まるという期待が高まり、カナダドルの上昇につながりました。まだ来年の事ですから一旦は動きも落ち着くと思われますが、来年早々には再び利上げ時期を探る思惑のカナダドル買いが見られそうです。

 量的緩和というと、来週に控える(11月2、3日)アメリカのFOMCでも量的緩和縮小(テーパリング)開始が決定される見込みで、すでにFF金利を見ると2022年中に2回の利上げを織り込む動きになっています。ニュージーランドは今月、7年ぶりに利上げを実施し、英国も利上げ実施を示唆、豪も欧州も量的緩和の縮小を直近で決定しており、各国が量的緩和の出口戦略やその次の利上げという段階的な正常化に舵を切る動きを見せています。

 ただ目先はというと、上昇してきた資源価格の動きが一服しており、この上昇に連れ高してきた資源通貨の動きが落ち着いていますので、目先は少し動きが鈍いかもしれません。

 さて、ドル円、クロス円の月足チャートを見ると軒並み一目均衡表の雲を上抜ける(すでに上抜けた)強い上昇になっていますが、力不足なのが英ポンドです。2016年のブレグジット国民投票以降ずっと雲の下で低迷し、上抜けを伺うチャンスもありませんでしたが、今回それ以来5年ぶりにテクニカル的な変化を見せようとしています。ただ、利上げ期待に反してブレグジットの構造的な問題点も否めません。労働者がとにかくいなくなり、先般も報じられたドライバー不足によるガソリン不足だけでなく、多くの労働者が失われました。また既にワクチンを2回接種して規制を緩和していたのが、ここへきてコロナ感染者が急増していることも、今後経済指標統計の数字に表れてくる懸念があります。つまり、ちょっとまだポンドの大きなテクニカル変化は期待しずらいのではないか・・・万が一利上げが決まりポンド上昇となれば良い売り場になる可能性も否めませんね。

 ※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。

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