10日にアメリカの10月CPIが発表されましたが、これを受けて相場の雰囲気がガラッと変わる1日でした。米10月CPIは前年比で6.2%上昇、市場予想は+5.8%でしたがこれを大きく上回る高水準となりました。食品を除いたコア指数も前年比で4.6%上昇となり、1990年11月以来31年ぶりの大幅な伸びを記録したことで利上げ観測前倒し期待が強まり、このところ軟調で全体的に売り傾向だったがドルが対円で一気に114円台回復を見せ、10年債の金利は1.56%まで上昇。そして米株指数は早期利上げ懸念で失速するという動きになりました。
FRBはこれまで、インフレ率は一過性であるというスタンスを貫いてきました。確かにこの上昇ピッチはずっと続くとは思えませんが、ただインフレが一過性だと言い続けるのはちょっと苦しい状況が続いています。年内最後のFOMC(12/14-15)、もしくは年明け以降のFOMCでこの言い回しの変化が出るかもしれません。一過性という見通しを削除すれば、早期でコンスタントな利上げ期待が強まりますからドル買いですね。
アメリカは11月25日が感謝祭ですから、その前後は感謝祭休暇でお休みムードになります。11月第4週はお休みと、そして感謝祭明けのブラックフライデー、サイバーマンデーと言われるようなクリスマス商戦に向かう個人消費が一年で一番活況な年末に入りますから、目先のドル円上昇は季節的には一旦落ち着く可能性も。感謝祭明けからクリスマスまでが今年最後のマーケットになりますから口座に買い余地を残しておきたいところです。
さて、10日期限とされていた中国恒大の30日延期したドルの利払いが行われたのかどうかと、デフォルトしたとか、回避したとかいろんな報道がありましたが、11日の報道を見るととりあえず今回は回避した「もよう」ですが、綱渡り状態には変わりありません。むしろ正確な報道が出ているのか疑問が湧く意図的な少なさ?で、次第に情報量が減っている点が気になります。
この中国の経済や貿易の大きな方針転換は関係国に大きな影響を与え続けています。直近でも韓国が「尿素」不足で騒ぎになりましたし、鉄鉱石の輸出を続けている豪は輸入停止措置などもあり、5月に230ドルまで上昇していた価格が、直近で95ドルまで下落しました。豪鉄鉱石関連企業には大きな痛手です。その中、11日に閉幕した六中全会で来年後半の党大会の開催を決定(元々予定されていたスケジュールですが開催の再確認)と、史上3回目(過去は毛沢東、鄧小平(敬称略))の歴史決議を行い、習近平国家主席の権力の一段の強固と3期目就任の地ならしが行われました。また習氏の掲げる経済格差縮小を目指す「共同富裕」にも一段と力を入れるようです。今年は6月以降個人情報を多く抱えるIT企業が軒並みターゲットにされて規制されていましたが、党大会に向けて22年も潤ってる企業に突然のメスが入るかもしれませんね。
中国、第3の歴史決議採択 6中全会閉幕
経済復調が顕著でインフレ率が上昇しているアメリカと、経済減速と膨大な負債を抱えた巨大企業の扱いに苦慮する中国。両国の米中首脳会談は11月15日にオンラインで開催予定です。
※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。
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