いよいよ感謝祭ウィークに入りましたが、祝日直前の22日にバイデン大統領は次期FRB議長にパウエル議長を再任、ブレイナード理事を副議長に昇格する人事を発表しました。正式には議会の承認を得ますが実質決定ですので、為替市場は一気に115円まで上昇しました。この円安については色々な見方がありますし、円安(というかドル高)要因も1つではありません。相場はその時々の都合でその中の材料を手掛かり材料にして動きますので良し悪しの評価ではなく、2017年以来の115円台乗せですから、ここは素直にトレンドに付いていくだけですね。
ただ、バイデン大統領に対する国民の信任は落ちつつあるということは言えるかもしれません。今回、日本を含め各国に石油の戦略備蓄の放出を依頼し、岸田首相も24日に一部放出を決定しました。ただ、結局これで原油の供給が間に合うのかといえば焼け石に水ではないか?むしろ下げたところで再度価格が上がる可能性も強く、インフレ抑制どころか更なるインフレを生むことが懸念され、そうした不信感が日々強まりながら年末に向かっている相場地合いです。産油国と消費国による戦いも激化という状況の中、12月2日にはOPEC閣僚級会合があります。ここで消費国であるアメリカに対する挑戦のような方針がささやかれるようだとまた波乱含みになりそうです。来週後半に注意しましょう。また原油高になれば資源通貨の連れ高もまた見られると思いますが、非常に政治的で投機的な分、今はドル集中の方がトレンドが見えやすいのではないかと考えています。
こうした中で金融当局に臨まれるのはインフレ抑制の金融引き締めです。10日に発表された10月のCPIは前年比で+6.2%。コア指数でも+4.6%で年間上昇率が30年以上ぶりの高い伸びでした。またCPI全般をすべてのジャンルの中で、特に家具の価格高騰が目覚ましく10%以上の上昇で1951年の統計開始以来過去70年間で史上最大幅を記録するなど、急速なインフレが確認されました。
今回、パウエル議長の続投が決まりましたので、恐らく12月のFOMCでテーパリングのペース加速について決まり、2022年は早期の利上げという流れに向かっていくことを期待した2年債利回りの上昇が始まっています。
今週はトルコリラの急落という動きもあり、休暇前に随分と材料過多な週でした。これはいつも通りのトルコの政治事情に対するリラ不安ですが、ただでさえドルが利上げに向かうときは、他に流れていた投資マネーがドルに集中しやすくなり、新興国全般に通貨が崩れやすい特徴があります。時期中銀総裁の指名予定者を急遽変更し、同国初の女性中銀総裁を示ししたことで不安感が台頭して売られているメキシコペソ、ワクチン免疫を回避する潜在的な脅威を持つという新型コロナウイルスの変異種が発見された南アランドなど軒並み直近安値になっていますので、改めて今は主要通貨に集中することをお勧めします。政情不安は新興国には付き物ですし、コロナ変異種がどこまで売り相場を作っていくかというと、一過性の可能性の方が高そうです。ただ、株も含めた日本市場を見ると足元が危うく下に下げる材料につきやすい雰囲気が強いですね。
※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋・加筆したものになります。
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