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持続的なインフレという見方に舵を切る2021.12.03

 アメリカのインフレ政策が急ピッチで変化してきそうな発言が続いています。もともと疑問であった「一過性のインフレ」という見方に対し、パウエル議長が直近の発言で「持続的なインフレのリスクが高まっている」とし、現在の状況が一過性ではないインフレであることを事実上認める発言をしました。

 インフレは急ピッチで進んでおり、低所得層は生活が脅かされる状況になっていることから、FRB及びバイデン政権はこれまで求められた「雇用」から「インフレ抑制」に注力を変えて今後対応していくことが迫られます。

 この加速するインフレが懸念される中、各中銀総裁がテーパリングの増額による早期終了を示唆するようになり、12月のFOMCにて増額が話し合われることが既定路線になっています。当初22年6月までに終了とされていたテーパリングが4月に終了になり、その後は22年中2回で50bpの利上げが見込まれています。

 ドルのトレードというと、これまで雇用統計がお祭り騒ぎになっていましたが、雇用から物価抑制にFRBの注力がシフトしていくとなると、今後特に注意が必要な指標はCPIとFRBが重視する物価指標であるPCEデフレーターです。CPIは消費者の直接支払い支出を対象にした指標であることに対し、PCEデフレーターは国や企業が消費者のために行った支出も含まれるので、総合的な個人消費支出となります。

 これらインフレを示す指標の数字を見ると、10月CPI(11/10発表)は前年比+6.2%、コア指数も+4.6%の伸びとなり、30年以上ぶりの高い伸びが記録されました。CPIは全てのジャンルで上昇したが、特に「家具」は+10%の高い伸びとなり、1951年の統計開始以来過去70年で史上最大幅を記録する猛烈な価格上昇が確認されています。10月のPCEデフレーターも前年比+5.1%、コアデフレーターは+4.1%といずれも高い伸びとなり、今年の春に2%を抜けて以降、右肩上がりの上昇・高止まりとなっています。

 インフレ抑制の早期利上げ期待は、投資マネーもドルに集中しやすい地合いに繋がります。先週はオミクロンの発生で全面的なリスクオフ地合いになり、ドル円相場も115円乗せから一気に113円迄下げ、米株売りに押されて103円もわれてきていますが、来年以降の相場を見るうえでこの年末相場で円高に傾いたところは良い買い場になってくるのではないかと思います。週足では115円で先週陰線つつみ足になりましたから、もう一段の下げの可能性も。

 ※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。

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