2022年初のFOMCが開催されました。今年は利上げのタイミングをうかがう重要な年になりますので、今年最初の一番の大きなイベントでしたが、決定内容は想定通り3月の利上げを示唆するものでしたが、パウエル議長の会見の内容が想定以上の強いタカ派を示したものであったことから、米株3市場は揃って値を消しました。
パウエル議長が示した内容は、3月の利上げ以降のピッチについてです。3月のFOMCで利上げを決定してたとしても、その後の年内全会合での25bpの利上げ可能性を排除しないというものでした。つまり、今年は3月を含めて残り7回のFOMC開催が予定されていますが、そのすべてで25bpの利上げをする可能性があるということになります。前回12月のFOMCから比較しパウエル議長は米経済やインフレが「一段と強い」という見方を示しました。この点からもこれまでの想定以上の利上げが好ましいと考える点になってきます。現在の政策金利が0.00-0.25%ですから、今年25bpずつ7回利上げをすれば、政策金利は1.75%-2.00%までとなります。為替はもとより、株式市場も一段とFOMCを睨んだ動きをする必要がある1年になりそうです。
さらに26日にもう1つ気になるニュースとして、WTOが中国に対してアメリカへの報復関税を認める決定を下しました。これは2012年に当時のオバマ米政権は、中国の太陽電池パネルなど22品目が政府からの補助金を受けて米国で不当に低い価格で販売され、米産業が損害を被ったとして、相殺関税を課していましたが、これに中国が不服を訴えており、WTOは中国側の訴えを支持した形になりました。これを受けて中国側がアメリカに対して報復関税を実行すれば、アメリカのインフレをさらに加速される一助になる可能性もあります。中国のゼロコロナ対策で物流は滞っており、アメリカのスーパーでも陳列棚が空っぽという光景も報じられてきている中ですから、この問題の行方に注意が必要です。加えて穀物資源を多く保有するウクライナにロシアがいつ侵攻してもおかしくない状況になっており、世界的なインフレ加速が懸念されます。
こうした中、昨日はカナダ中銀の金融政策会合も開かれ、政策金利の据え置きを決定しましたが、近い将来の利上げを示唆しました。このところ強かった原油高を受けて、カナダ経済も堅調な地合いが伺えます。
※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。
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