各国インフレが続く中、金融政策の変化に金融市場が慎重な動きになっており、どの通貨を見てもあまりはっきりとしたトレンドが見えません。あまり無理したくないところです。
直近では2月1日豪RBAが今月をもって買い入れ停止することを決定しました。このQEの終了が直ちに利上げを意味するものではないとしており、利上げ開始時期にはまだ先になりそうで、利上げを決定するにはインフレ率が2-3%のターゲット内で持続的に推移することが必要と言及しました。直近の豪CPIを見ると21年4-6月が3.8%、7-9月が3%、10-12月が3.5%と軒並み高が続いており、基調インフレ率も現在2.65%と高水準を記録して、インフレ率だけであればいつ利上げをしてもおかしくはない状況です。特に今年も原油をはじめとした資源価格の上昇が止まりませんから、先送りしている利上げについても前倒しする可能性が否めません。
そういった観点では、金融政策会合を1月を除き毎月開催しているという点も(多くの国が6週毎に年8回体制)、短期的な思惑や見通しに対応しやすく作戦が立てやすいですね。未だ豪ドルは動き出していませんし、利上げも否定している状況ですから変化に注意していきたいと思います。
さて、今週末4日は米雇用統計です。今年は何回利上げするのか?利上げ幅はどれぐらいなのか?という注目を集める中、そのヒントを見るうえでも注目されます。前哨戦となる民間統計1月ADPは予想+20.7万人に対し、結果-30.1万人と予想を大きく覆すものになりました。報告書によるとオミクロン株拡大の影響や基調の振れが原因として軟調に推移したと判断されています。4日は米労働省が発表する1月の雇用統計です。ロイター予想によるとNFP予想が+15万人ですが、この予想に対して大きく下振れた結果になれば、今一部で期待される初回利上げ50bpという見通しが後退しそうです。
ドル円の変動に影響を受け、クロス円も全般的に冴えません。その中で堅調な動きをしているのが南アフリカランドです。月足チャートを見ると、リーマンショック以降一度も雲を上抜けする動きを見せておらずひたすら雲に上値を抑えられています。ただ、資源価格全般が堅調な中、月足の雲の上限も大きく下げていますので、そろそろ今年は雲上抜けトライにも期待が高まります。10年以上無い大きな変化が出来るかどうかですから、年央に向けて変化に期待して見ていきます。
※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。
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