3月のFOMCで利上げ開始期待が強まるアメリカに続き、欧州や豪も加速するインフレに対応する姿勢を示すと、続々と市場が早期利上げを期待する雰囲気となってきました。利上げ期待の自国通貨買いというのはあまり好ましいものでもなく、通貨高もインフレを加速させる要因にもなりかねないことから、利上げ姿勢に続いて示しているのはいずれも自国通貨高抑制的な内容です。アメリカのような強気の利上げ姿勢ではなく「漸進的な利上げ」を示すことで、インフレの加速度を見計らいながら適切に過度にならないコントロールをすることを目指します。
ラガルドECB総裁は「漸進的なものになる」と発言し緩やかで段階的であることを訴えましたが、さらに分かりやすいのがRBAです。ロウRBA総裁は「年内利上げの可能性はあるが、2四半期のCPIを見てから決定する」としました。1-3月CPIの発表が4/27、4-6月CPIが7/27の発表になりますから、この2四半期で高インフレが持続的に確認されれば、早くても年内利上げは8/2の会合となります。投資家としては判断材料が非常に明確で有難いものです。ちなみにRBAが指針とする重要指標の基調インフレ率は、7-9月期が2.15%、10-12月期が2.65%です。2016年1-3月期以降、長らく2%以下で停滞してきたのが、直近2四半期で急騰ですから、政策変更のかじ取りも慎重に行われますね。
対して3回連続の利上げ期待が強まったのが、2/16に1月のCPIを公表した英国です。エネルギー価格高騰を背景に前年比で+5.5%と約30年ぶりの水準となっており、インフレ高抑制のための3会合連続利上げが期待されます。次回会合は3/17です。英国は2021年に7.5%成長となり、1941年以来最大で80年ぶりの高い経済成長が確認されました。月足チャートも今月ハッキリと雲上抜けとなりました。2016年6月のEU離脱を問う国民投票で離脱が決定した時に大きく値を崩した雲を割り込みましたが、その時以来約5年半ぶりの変化です。欧州の漸進的な利上げに対し、英は3会合連続利上げ期待です。まずは158円台の節目を突破して、160円回復に期待。
※こちらのコラムは会員向けレポートから抜粋したものになります。
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