6月1日、カナダ中銀が2会合連続50bpの大幅利上げを決定し、政策金利を1.5%としました。先進国通貨の中ではNZドルに続き高金利通貨となってきました。エネルギー価格を中心とした高インフレ抑制をするためインレタ―ゲット2%達成に向けてさらに行動すると示唆しており、カナダドルは対円で103.09迄上昇、4月の高値102.95を上回り、2014年12月の高値106.49を伺う動きになってきました。すでに2015年の125円を高値を抜いた米ドルと比較すると、まだカナダドルには上昇余地がありそうです。
というのも、今回の世界的なインフレ加速を決定づけたウクライナ戦争でエネルギー価格は高く上昇し、直近でもEUはロシア産原油の禁輸に合意しました。カナダは世界有数の産油国ですから、需要が伸びるという経済にとってプラスに作用することが期待されます。地の利で考えても、戦地から非常に遠く影響を受けづらく、世界的なインフレ傾向の中で「どの通貨を」と選ぶとき、筆頭でドルが買われてきましたが、もう一段の上値を追うと考えると見直されてもいい通貨と言えそうです。
また米ドルですが、先般バイデン大統領とパウエルFRB議長が会談し、その中でバイデン大統領はFBBの独立性を支持し、インフレ抑制の姿勢も支持しましたので、改めて日米金利差からの出直りドル買いが入り130円回復となりました。14、15日のFOMCに控えてブラックアウト期間も近づきますので、それを前に当局者を中心にインフレ抑制を踏まえた発言が続いています。また今月からQT(量的引き締め)が開始されました。前回はリーマンショックの後続いたQE1~QE3で買い入れた資産を2017年10月~2019年7月にかけてQTを行いましたが、その時以来です。月毎の規模は前回の2倍と言われ、その影響がどれほどになるかはまだこれから見ていく必要がありますが、その期間のNYダウは月足で見ると比較的もち合い、ドル円はじり安という動きが見れました。ただ、当時はQE→利上げ→その後QTという順序がありましたが、今回は利上げとQTと同時進行ですので、前回が参考になるとは言えなさそうです。ただ、市場全体に警戒マインドがある点は、念頭に。
次週は7日にRBA(利上げ予想)、9日にECB(今回は据え置きか)と会合が控えており、手掛かり材料が多くなります。特にECBは7月利上げが強く織り込まれていますので、声明や総裁会見によっては買いが強まる可能性も。
※こちらのコラムは会員向けレポートから一部抜粋したものになります。
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