6月のFOMCは27年7カ月ぶりの75bpの大幅利上げを決定し、進み続けるインフレ抑制に強い姿勢を示しました。一先ず6月最大のイベントが通過しました。パウエル議長も今回の75bpという大幅利上げは異例であると言及しつつも、次回会合でも50bpか75bpの利上げを行うという姿勢を示しています。
FOMC同日、日本時間の午後にECBが突然臨時会合の開催を発表したことも相場に動意を与えました。特にFOMC直前だということで警戒が強まりましたが、独国債と南欧国債の利回り差拡大を憂慮し、PEPPの運用に柔軟性を持たせることを決定するなど、一先ずは域内の利回り拡大に早急に対応した形です。またECBも次回7月会合で25bp、9月に50bpの利上げを示唆していますが、インフレ率が上昇するようであれば、他国同様に7月に大幅利上げという決断をせざるを得ないかもしれません。
その後、16日の日本時間夕方に出たのが、スイス中銀が2007年9月以来約15年ぶりの利上げを決定しました。据え置き予想に対して50bpという大幅利上げの決定に市場は動揺しました。政策金利をこれまでの-0.75から-0.25に引き上げ、さらなる追加利上げを言及、さらにはECB利上げによるユーロ高・フラン安を警戒し、フラン買い介入する用意がある(これまでと逆介入)と発言し衝撃を与えました。これで金融市場全体がリスクオフになり、株価は売られ、トレンドは一旦円高です。
スイス中銀というと、2017年1月に起きたスイスフラン上限撤廃のフランショックが記憶に新しいですが、この時も突然の決定に市場が大きく動揺しました。今回も非常にサプライズ感が強いですが、近年長らくマイナス金利を導入してきたスイスでさえ、今のインフレには非常に危機感を感じているということを市場に知らしめる結果となり、インフレ抑制懸念のリスクオフは未だ続きそうです。
17日は、日銀の金融政策決定会合ですが、スイス中銀ですらインフレ対策をする中、日本は世界にどのようなメッセージを出せるのか、甚だ懐疑的ではありますが、注目度は違う意味で上がっていると言えます。
また今のようなマーケット状況になると、いつどこかの国の中銀総裁が発言をしたり、臨時会合を行うか分かりませんから、スケジュールの報道に注意を。そして落ちているナイフは今は掴みたくない。ちょっとショック状態が落ち着くまで様子見と考えます。
当コラムは、6月16日のレポート発行後に起きた変動を踏まえ原稿を差し替えています。
※こちらのコラムは会員向けレポートから一部抜粋したものになります。
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