春先に、22年後半にはインフレが落ち着く予想であるとどの国も声を揃えていましたが、結果的にインフレは加速し続けており、多くの国で大幅利上げ、継続利上げが決定されています。直近でパウエルFRB議長は急速な利上げによる景気後退の可能性を問われ「可能性は確かにある。」と明言しました。しかしアメリカ経済は引き続き力強いため、利上げ継続が適切であるとし、金融政策について方向感を明示しましたので、先行き不透明感は払しょくされています。
こうした中で金融緩和姿勢を進めると明言する日本円との金利差が拡大し、21日にドル円相場は1998年10月以来約24年ぶりの136円台乗せとなりましたが、まだまだ動きが鈍りません。1998年というと前年にタイバーツ売りからのアジア通貨危機が発生し、各国通貨が軒並み下落してドルが独歩高で147円の高値を付け、そして98年8月にロシア通貨危機、9月に米ヘッジファンドLCTMが破綻するという金融危機に繋がるという局面でした。ドル円が2日間で30円もの凄まじい急落を見せた場面以来のドル円の水準に今、到達しています。
さて、こうした記録的な円安地合いが続く中、今年も後半相場に入ろうとしています。さすがにインフレがきつく、各国中銀も対応に追われている時ですから、のんびりサマーバケーションという雰囲気では無さそうです。加えて夏から秋にかけては中国に再び気を付ける時期かなと考えています。近年を振り返ると、初夏から8月のお盆にかけての頃は、中国が経済スタンスを突然変えたり強固にしたりする政治判断が増える時期です。チャイナショックしかり、昨年も初夏に突然、米市場に上場する中国企業の規制強化を行い不安感をあおりました。まして今年は秋に5年に一度の共産党大会を控える中、ゼロコロナにてこずって経済減速が懸念されていますから、世界のインフレや利上げに目が向きがちですが、中国にも注意を怠れません。
※こちらのコラムは会員向けレポートから一部抜粋したものになります。
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