カナダの利上げ幅に注目2022.07.08

 各国中銀がこぞってインフレ抑制の金融引き締め政策を続ける中、次のテーマとして急ピッチのインフレ加速による経済への不安が世界的に強まってきました。特にこのところ懸念が強くささやかれているのが英国経済です。

 
 7月5日、英中銀は金融安定報告の中で「経済の嵐の備えるように銀行に指示をした」と公表しました。英国と世界の経済見通しは著しく悪化しており、ウクライナ戦争の長期化で一段とそのリスクを高める可能性があると促し、警告を発する内容です。またこの日は、ジョンソン英政権に大きな打撃となる2人の閣僚の辞任が報じられました。特にポンド売りの大きな要因になったのはスナク財務相の辞任です。先般も与党内からジョンソン首相の信任投票が行われ、薄氷で信任されるという結果になりましたが、この二閣僚の辞任をキッカケに、翌6日には副大臣級を含む40人程度の与党議員が政府の役職を辞任すると表明しました。

 ジョンソン首相は現時点でまだ続投を示してはいますが、足下が非常に脆弱ですし、もはや不信任を突きつけられている状況なわけですから、今週中にも首相の辞任が報じられてもおかしくはありません。(※7月7日日本時間の夕方、辞任が報じられました。ただし、次期党代表を決める秋までは職務に努める)そうなれば、あく抜けで一旦は買い戻されるかもしれませんが、そもそもインフレ加速の中、景気後退が迫っているというのが浮き彫りになっており、昨年暮れから5会合連続で利上げし、政策金利は1.25%まで引き上げていましたが、想定よりも早期の段階で今度は利下げに転換する可能性が現実味を帯びてきます。となると、対円では目先は168円でダブルトップになった可能性も。
 
 さて、次週はカナダ中銀の会合を控えています。直近のロイターの調査では、次週13日と9月の会合で計125bpの大幅利上げを決定するのではないかという見方が有力という結果が出ました。7月は75bpの大幅利上げの見込みです。また年末までには政策金利が3.25%になるという見方が優勢です。中銀の四半期調査では今後2年間でインフレは3%超え予想ですが、他国に比べて景気後退確率は高くありません。年内で利上げを打ち止め、効果を見るという方向性が強そうです。カナダドルは2014年12月の直近高値106.49を6月に突破し、107.20迄上伸しましたが、現在は104円台を挟んで高値圏で小動きになっています。他のクロス円に比べると直近の動きは穏やかで米ドル連動感が強いですが、今では全体的に利上げは買い材料とは言えなくなってきている点、注意です。
 

 ※こちらのコラムは会員向けレポートから一部抜粋・加筆したものになります。

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