7月27日のFOMCでアメリカは2会合連続の75bpの利上げを決定しました。事前予想通りでサプライズはありませんが、まず75bp以上の利上げを決めなったことに安心感が広がり、またパウエル議長の会見内容を金融市場が「ハト派」と受け止めたことによって、追加の大幅利上げ見通しが後退したことで株式市場は好反応となりました。ドル円相場については、今後利上げ幅が拡大するという見通しが減退したことからやや円高基調となっていました。
さらに28日、アメリカの4-6月GDP速報値が発表され、前期比は予想+0.5%に対して、結果-0.9%となり、2四半期連続のマイナス成長でテクニカル・リレッションが確認されました。
リセッションは景気後退を意味しますが、この相場においてテクニカル・リセッションは株価面にプラスになっています。前日のFOMCで今後の利上げペースの鈍化示唆と捉えたことに加え、マイナス成長も引き締めに大きな向かい風になるだろうという認識が強まり、米株は出直りの動きが堅調です。
そうなると、ドル円相場を強気で見ていた国内投資家にとっては非常に厳しい状況になってきました。7月14日に139.39の高値をつけてからの下げを受けて、押し目と見て買っているポジションは今年最高水準です。こうしたポジションのストップロスも受けて、29日の日本時間は1カ月半ぶりの132円台まで下げてきました。
さて、ドル円の長期チャートを見てみると、夏場にかけて高値をつけている時期が多いのが分かります。91年6月に戻り高値142.17、98年8月の高値147.68、2007年6月の高値124.19、15年6月の高値125.86と軒並み夏場にかけてです。ただ、以前のFOMCは6月の会合で政策を大きく転換することが多かったため、そうした背景も夏場にトレンド変化を促していた点は否めませんが、過去には夏場にトレンドが変化したことが多いということは一応念頭に。いずれにしても先週も記載しましたが、長期のドル円投資は今が利食いのタイミングです。
さて8月は日米欧の金融政策決定はありません。次回は9月のレーバーデー以降です。ECBが大幅利上げを示唆していますが、イタリアは政権不在の状態になり、9月下旬に総選挙が予定されるなど混迷しています。こうした中、大幅利上げは現実的に可能なのだろうか・・・という点に絡むニュースに注目です。
※こちらのコラムは会員向けレポートから一部抜粋・加筆したものになります。
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