ドル円相場が先般の円買い介入時の水準を超えて、147円目前まで上昇してきています。こうなると、1998年8月につけた直近最高値147.64がもう射程圏内でしたが、10月13日の米9月CPI発表後にこの直近最高値を更新し、ドル円相場は90年以来の円安水準になりました。下のチャートは長期の月足チャートです。見辛いですが、現在の形だけでも見ていただければお分かりの通り、歴史的にも相当な水準までドル高が進んだことが分かります。これは単純なドル円相場のチャートですが、実質実効為替レートはすでにプラザ合意の85年の水準に並んでいます。米財務長官も米国債の流動性について言及するなど、少し潮目の変化を感じます。
さて、直近ではIMFが直近の経済見通しを発表しました。2023年の世界経済予測は前回の2.9%→2.7%へ引き下げ、一段のドル高になれば多くの新興国で債務問題が深刻になるというドル高への一種警戒感を示しました。経済予測見通しが3%を下回るのは今世紀初という記録になっています。
また各国の見通しを見ると、米国が1.0%成長、ユーロ圏が0.5%成長と鈍化する中、日本は欧米を上回る1.6%の成長が見込まれています。他国の成長が失速するので、日本が相対的に成長するという見通しが出ました。予想としては喜ばしいのですが、懸念されるのは来年4月に黒田総裁の任期を迎え、交代が必至であるということ。とすれば、緩和策を続けてきた日銀の金融政策が大きく変わり始める可能性があり、それが来年の軟調な世界経済に一段の不安感を与えかねない要素となり得る可能性も否定できません。
こうした経済への先行き不安感が強まる中で、特段の混乱を期待してる英国は、英国債だけでなく中銀の対応も二転三転するなど振り回される展開が続きますが、それだけ混乱の度合いが大きいと言えます。英中銀が緊急措置として導入した国債購入は14日までの期限としていますので(中銀は延長を否定)、これが切れる来週明けの欧州時間には注意が必要です。
※こちらのコラムは会員向けレポートから一部抜粋したものになります。
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