ドル円相場が90年以来の高値を更新するドル高地合いが続いています。連日分足のチャートを見ていると目に付きますが、ところどころ「介入らしき」動きはありますが、すかさず買い戻されて値を切り上げる展開です。9月22日にドル円相場が145円に乗せた直後のドル売り介入は24年ぶりで、2兆8382億円というドル売り1日の介入額としては過去最大規模の金額でした。その後2週間近くはこの水準で留めていたので、一定の効果はあったと言えるかもしれませんが、その後は再びじわじわとドル高が続き、ついに10月19日、ついに150円台乗せとなりました。
先週末、バイデン大統領が「ドル高を懸念しない」と発言していることが報じられました。G20財務大臣・中央銀行総裁会議もあった直後ですから、非常に政治に影響を受けやすい為替市場について、何かお達しでもあったか。真相は分かりませんが、無くはない話です。150円が達成した後の鈴木財務相は過度な円安や投機的な動きをけん制するいつもの発言をしつつ、「円安にも良い面がある」と円安容認と言える内容も含んでおり、今後は投機的な動きにも狙われやすい言葉尻にもなり注意が必要になりそうです。
いずれにしても、過去の為替相場を見ていると、介入1回でトレンドが変わるわけではないが、介入が入り始めてから時間をかけてトレンドが変化していることがチャートでも伺えます。この攻防の中で注意してみていくしかありません。
さて、この秋相場は悪いニュースがどんどん出てきましたが、特に混乱を巻き起こした英政治は19日、トラス首相が支持率たった7%まで低下した就任44日目で辞任を表明しました。トラス氏の方針についてはバイデン米大統領までもが批判する異例の対応となりました。国内外から厳しい不信任を浴び、英国経済を一気に混乱を叩き落とした結果ですから致し方ありません。後任首相は来週28日に党首選を行い決める方針のようですが、トラス氏の前に辞任したジョンソン氏が再び有力候補と言いますから驚きます。与党保守党の支持自体が大きく低下する事態になっているので、過半数の支持を得ている野党労働党が活発に動きだしており、政治の不透明感はしばらく強まる可能性も。
来週はカナダ、ECB、日銀と金融政策会合が続きます。利上げ幅や今後の見通しなどが焦点になりますが、それとは別に中国の延期されたGDPの公表があるかどうかです。10月18日に公表予定だった7-9月期のGDP発表を前日に急遽延期しました。世界第2位のGDPを誇る大国が直前に延期などあり得ない事態ですが、共産党大会中だから配慮したという見方もあります。でも会期が決まった時点で公表延期できますよね・・・。今後、中国の経済指標の信ぴょう性がますます薄れそうです。
※こちらのコラムは会員向けレポートから一部抜粋したものになります。
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