先週21日、ドル円相場が151.94迄上昇したNY時間、9月22日以来のしっかりとした介入が入りました。23時半ごろから入った模様で、151円アッパーから146円ロウまで大きく円高にブレる強い動きになりました。金曜日のNY時間というタイミングも非常にサプライズとなり、強いインパクトを与える動きになりました。今回の正しい介入金額は10月31日の午後7時に財務省が公表まで不明ですが、日銀の当座預金残高からの推計によると、今回の介入資金は5.5兆円ともされています。前回9月22日の介入が2.8兆円でしたから、大きく上回る見通しです。
この日銀の強い姿勢に追い風となっているのが、為替市場を取り巻く空気感の変化です。今週はアメリカから「利上げ幅の縮小」を求める声が強まってきました。これまではインフレ抑制をとにかく一番の重要課題として異例の大幅利上げで対応してきましたが、その悪影響があちこちに広がり、大きくなりつつあることを受けて、経済の先行きへの懸念が強まった結果です。
さらに輪をかけて、カナダ中銀が26日の金融政策会合で予想75bpの利上げに対し、50bpの利上げと利上げ幅を縮小してきました。カナダは北米という地の利からアメリカの経済の影響を強く受けます。またアメリカの状況を見て経済政策の変化も一歩先に動くことの多い国です。今回のBOCの決定は、今後の各国中銀のインフレ抑制のための政策金利引き上げ幅に一石を投じる可能性が高く、為替市場は円高というよりもドル安という印象です。
さてもう1つの大国中国ですが、共産党大会と1中全会が終わり、習近平第3期の顔ぶれが出揃いました。第1期の頃は紅二代人脈も多用し層が厚かったですが、次期首相は経済政策経験ゼロで有名な人物です。既に経済の成長よりも思想に基づく政策を強く進めていく姿勢がうかがえる、そんな体制となりました。これを受けてのハンセン指数や米市場の中国株指数の下落はご承知のことと思います。週明けにはGDPも公表されましたが、信ぴょう性やいかに・・・。
未だ始まったばかりですが、来年以降はさらにこうしたきな臭い極東アジアの側面も踏まえて外貨投資を考えていく必要がありそうです。
※こちらのコラムは会員向けレポートから一部抜粋したものになります。
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