今週の当コラムは、レポート発行後の11月10日にアメリカで発表された10月CPIを受けて差し替えております。ご了承ください。
さて、11月10日の夜は歴史的なドルの下げを記録しました。CPIは予想+8.0%に対し+7.7%と鈍化。6月のCPI(7月13日公表)が前年比で+9.1%と約41年ぶりの高い伸びとなり、そこから記録的な高インフレに対しFRBが連続の大幅利上げを推し進めてきました。そのインフレ抑制の効果が出てはいますが、今回のCPIの鈍化はつまりアメリカの「歴史的な大幅利上げ」の終焉を意味します。株価は利上げ減速予想を好感して大きく上昇し、対してドルは1日で4.4%もの下落となりました。この日の動きは2009年以来の最大の下げとなっています。
ドル円の日足チャートを見ると、10日は最近見ない大きな陰線で一気に一目の雲の中に入りました。CPI公表直後は雲の上限のところで一旦止められていましたが、そこで入る押し目買いを燃料にしてさらに売り崩されたような動きでした。結果として140.18まで下落し、節目となっていた9月の140.40を下回りましたので、目先的には7月高値の139.39、これを割り込むと135円ぐらいまでのゾーンが下げの目安になるかもしれません。万が一短期でそこまで下げてしまうと、雲を下に割り込む動きになります。今は21日線が下向き、ローソク足は90日線を割り込んできました。
今後のトレンドのカギを握るのはやはりアメリカの金融政策です。前回11月2日のFOMCでは、利下げ幅は縮小を示唆するもターミナルレート(金利の最終到達点)は予想を上回る可能性があるとし、積極的な利上げの継続を示唆しました。
しかし国内から経済政策に異を唱える発言も次第に出てきていました。イエレン財務長官の出身でもあるサンフランシスコ連銀のエコノミストからは「米金融市場が現在の政策金利以上の引き締め状態になっている可能性がある」9月の時点の市場は政策金利が5.25%まで引き上げられた状態だったのと同じ状況であったというものです。その当時の政策金利は3.00-3.25%ですから、2%もの行き過ぎ感です。その背景には利上げもありますが、同時に今年6月から行っているQT(量的引き締め)も影響しているかもしれません。9月には規模を増額して950億ドルのQTが行われています。次回12月のFOMCに向けて、さらにそのあたりの影響度が加味されるかもしれません。
※当コラムは、会員向けレポートより一部抜粋しました。
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