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来年も活況のドル円相場は続くのか2022.12.30

 今年の為替市場では1年通して「インフレ抑制」がテーマとなり、各国中銀が相次いで低金利政策を撤回して利上げに転換していきました。ドル円相場は歴史的な151円台まで円安が進み、FX店頭取引高は今年の1月-11月までの累計で1京1083兆円!ちなみに昨年は1年間で5998兆円ですから、ほぼ2倍の取引高です。この内、ドル円相場だけで全体の74%を占める8223兆円に達し、かつてないほどFX取引が活発に行われたことが分かります。そのFX活況をけん引したのは円安相場ですが、さて来年はどのような動きになっていくのでしょうか。

 ドル円相場が直近最高値の151円をつけて失速して以降も、ある程度の水準で値を保っていましたが、12月の日銀金融政策決定会合で「緩和維持」路線の解消を示す動きが見えたことで、一転して状況は変化しました。さてこれからどれだけの動きになるのか?というところで過去を振り返ると、ちょうど98年が147円の高値をつけてから急速に下げていく局面でした。今回も水準が近いから大きく参考にする話を見かけますが、実際にどうなのでしょうか。
 
 98年8月に147円台の高値を付けたドル円相場はその後一転し、99年1月には108.21円迄突っ込み、高値から26.7%下落しました。反発局面もありましたが、結局同年11月には101.22の一段安となり、高値からは31.5%の下落と大きく値下がりました。
この高値からの値下がり率を今回の数字を当てはめてみると、151.96の高値から26.7%下落したら111.38、31.5%下落したら104.09・・・かなりシビアな数字になります。無いとは言えませんが、そこまで行くのか?
 
 この参考にしてみた前回98年当時の相場をもう少し振り返るとちょっと見方が変わります。当時はそもそも94年にメキシコ危機が発生し、信用不安による円高が加速。介入を続けるも効果が無く、日銀が公定歩合を引き下げて対応しましたが、95年4月19日には歴史的安値の79.75まで円高となりました。そこから反転して3年で147円までの円安、たった3年で85%の上昇と、かなり極端な相場展開があったことが分かりますね。今も当時と円安の水準は近いかもしれませんが、取り巻く相場の背景は全く異なります。そうなると、この時ほどの円安の巻き戻しがあるかどうかは懐疑的です。
 
 そのカギを握るのは、日銀になりそうですね。来年は1月17-18日、3月9-10日の開催をもって、黒田総裁が退任予定です。新総裁による会合は4月27-28日が一回目という予定です。
 来年もどうぞよろしくお願いいたします。
 
次回の更新は、2023年1月13日(金)午後となります。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより抜粋・一部修正しました。
 

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