今年最初の日銀金融政策発表は、11時40分に「現状維持」と素早い判断がなされ、ドル円は128円台から一気に131円迄2.5%上昇、300pips以上の値上がりとなり、強い切り返しになりました。その後黒田総裁の会見(15時半~)以降は値をしていきましたが、日銀への「過度な」期待によるポジションの傾きが修正された形です。ただ、この動きは一時的で欧州時間には円高地合いが強まり、その後の欧米の経済指標の結果を受けて値を消し、結果行って来いの形になりました。日銀の内容は事前予想通りです。思惑が行き過ぎた結果の高いボラがありましたが、むしろそこは良い投資機会になったと言えますね。実際の黒田総裁の会見を見ると、今回は特段の変更も行わず、大規模緩和についてのスタンスは変えていませんが、YCC撤廃について否定はしていませんでした。未来についての否定もしていませんから、新体制に向けて再び思惑は出てくると思います。
さて日銀についての目線は一旦一呼吸でアメリカに目を向けましょう。昨日はアメリカ株が大きく下落し為替もドル売り一色となったのは、経済指標の悪化に素直に反応した形です。ガソリン価格の下落を受けて指標の低下が目立ちました。12月の小売売上高は市場予想を下回る-1.1%で2カ月連続マイナス。クリスマス商戦を受けた12月の小売りでこの結果ですから個人消費が急速に先細っていることが伺えます。同じく12月のPPIも市場予想を下回り-0.5%、マイナスは4ヵ月ぶりです。また米大手IT企業のリストラ計画は続々と報じられており、こうした景況感の悪化に素直に反応した相場になりました。
また当コラムを書いている19日朝の速報で、NZのアーダーン首相が2月7日までに辞任することが報じられました。前任のキー首相の辞任発表時に比べるとサプライズ感はありませんが、安定した政治がNZドルの信認の大きな要素でもありますから、政治の空白がどうなるか注視しています。
これから月末に向けて、まず週末にアジア勢が春節を迎えます。25日にはカナダ中銀会合、そして月末にFOMCが開催されます。そのブラックアウトルール前にサンフランシスコ連銀総裁が「引き続き急ピッチの利上げを続けるべき」と発言したことも昨夜はドルの大きな重しになりました。インフレは未だ高く景気減速は顕著であり、FOMCのかじ取りが注目されます。ドル円相場は目先の下値メドは2015年の高値125.85、遠くないですね。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより抜粋・一部修正しました。
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