相場の流れが変わるとき、それは色々な要素がありますが、今回は2月3日に発表された米1月の雇用統計が大きなトリガーになったようです。
1月の雇用統計はNFPが予想+18.5万人に対して、結果+51.7万人と予想を遥かに上回る好数値。特にこのところ報道で目立つのは大手IT企業の人員削減やレイオフだっただけに、この数値には大きなインパクトがありました。失業率は予想3.6%に対して、結果3.4%と1969年5月以来約53年ぶりの低水準まで低下するという記録的な数値です。半世紀ぶりの好結果にドル円相場は一気に21日線を突き抜けて130円台乗せとなり、週明けには窓を開けての高値132.90迄上昇しました。
こうした変化を感じさせる中、FRBウォラー理事は8日の講演で政策金利については「より高い金利をより長期間維持する可能性」を言及。また1月の雇用統計の結果が市場予想を遥かに上回り、今後数ヵ月間はインフレ圧力に上昇圧力がかかる可能性が高いと警告しました。また同日NY連銀ウォラー総裁は「インフレを2%を戻すには今後数年間は引き締めを継続する必要がある。1月の雇用統計は予想を遥かに上回る数値だった。これでインフレ圧力はさらに上昇し今後数年間は引き締めを継続する必要がある」との見解を示しました。
ターミナルレートについては今変更を言及する場面ではありません。ただ、落ち着きつつあると感じていたインフレはまだまだ上昇圧力が出てきていますし、それを認めていますから、次回以降のFOMCのドットチャートが示すターミナルレートは変化が出てくるかもしれません。日銀総裁人事も材料として出尽くしですので、目先のドル円押し目買いスタンスで見ています。雨宮次期総裁候補だから日銀政策に変化が無いだろうと円売りになっているのではなく、総裁人事が一服したからだけだと思います。誰が就任しても早急にドラスティックに政策変化など出来ませんし。(追記:2月10日の16:21に新総裁に植田和男氏と日経の速報が流れ、予想外の人事にドル円相場は円高にブレています。また同時に本命とされた雨宮氏が辞退とも報道。植田氏が現在の金融政策に対してどういう意見を持ち得ているか、現在全く報じられない為不透明感も一旦買い戻したドル円を売る動きか。詳細は続報を待ちたいと思います。尚、政府は正式には2月14日公表)
ちなみに今回のドル円の日足の窓開けを見るのは久しぶりです。ドル円は先週末131.18で引け、今週の始値は132.41(いずれもBID)ですから寄りから窓を開け、さらに132.90の高値を付けに動きで続伸しました。その後は値を消しますが下ヒゲが長い動きですから下げ渋りも強かったのが2月6日。ただ、市場参加者の多いドル円相場ですからセオリーには素直で8日のロンドンFIX(日足だと7日)にはキレイに窓埋めしました。チャートを見ると、窓をきれいに埋めに行っています。
週明け窓開けの典型的な動きを見せてくれました。取り逃されたスウィングトレーダーさんには次には是非注目してもらいたい動きです。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより抜粋・一部修正しました。
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