22年3月、先進国でいち早く利上げに転じてインフレ対策を行ってきたカナダ中銀が3月8日の会合で政策金利を4.5%で据え置きに決定しました。据え置き自体は予想通りですが、依然としてインフレ対策を行っていく姿勢を示しており、今回をもって利上げ打ち止めではなく、さらなる利上げを含む声明でした。ただ、予想通りとはいえ8会合連続利上げを続けてきましたので、その流れが止まったことは素直にカナダドル売りで反応しています。
また今週はアメリカで半期に一度の議会証言が行われたことで、パウエル議長の発言がキッカケになってドル相場が買われました。一時は200日線を突破する137.91まで上昇しましたが一服。とはいえ、今の流れであれば137円台の200日線を突破して140円あたりまでのゾーンに進む可能性が高い状況です。一旦小幅利上げに転換し、次第に利上げ回数を減らしていくと見られていたアメリカの金融政策ですが、景気後退懸念がやや薄らぎ予想外に進むインフレへの対応に再び注目が集まっています。注目のターミナルレート(政策金利の最終到達地点)は昨年暮れ時点で5.1%でしたが、現在の市場予想では5.25-5.5%が根強く、一部では6.0%を見通す意見も出ています。パウエル議長も「ターミナルレートは予想以上に高くなる可能性」と発言しており、利上げペースについては「決定していない」としながらも、市場はすでに3月FOMCでの利上げ幅50bpを80%近く織り込んでいる状況です。この3月のFOMCでの政策決定について、経済指標を見て判断するとも発言されており、10日発表の2月雇用統計、14日発表の2月CPI、15日の2月小売売上高、卸売物価等の注目度が一段と高まっています。これらの内容次第では、いったん沈静化していた大幅利上げの思惑が再び強く浮上してドルを押し上げ、米株市場を下落させる要因になります。 ちなみに民間の雇用統計にはやや鈍化傾向がみられてきており、利上げ思惑がひと段落したところで米景気減速感を再び強める可能性があるのを頭の片隅に置いておきたいです。
尚、アメリカは今週末でサマータイムが終了になりますから、雇用統計までは発表が夜22時半、CPI以降は21時半と時間が変わります。米株市場のオープンクローズも1時間変わりますから、動意づくのも早くなる点ご注意ください。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより抜粋・一部修正しました。
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