先週末にアメリカの地銀第18位のシリコンバレーバンクが経営破綻、もう1行相次ぎ、イエレン財務長官が未だ注視している金融機関が数行あると発言したことから、銀行信用不安が強まる急激なリスクオフムードが続いています。この流れは15日には欧州市場に広く波及し、欧州株式市場は全面安の展開となるなど、まだまだどこから火が上がるか警戒ムードが強い状況です。
先週まで注目された米国の2月CPIは堅調な数字が出たものの、今回の銀行不安の引き金となったシリコンバレーバンクの経営が傾いた大きな要因が急ピッチな利上げであったという背景や、更なる混乱に警戒していく必要があることを考えると、インフレ対応は同列に扱うわけにはいかないものの、強気のターミナルレートや連続大幅利上げに向かうには強烈な向かい風が吹きました。
日々大きく地合いが変わる展開ですが、現時点では3月FOMCで25bp、声明や議長の発言では今後の利上げについての強気見通しが後退し、利上げ停止をにおわす可能性も否定できません。地合いが変わりました。インフレ対策が必要であっても、これまでのような利上げをすれば悲鳴を上げる銀行がさらに出る可能性を考慮すればこれまで通りの決断をすることは難しいと思われます。
ドル円相場は3月8日の137.91が直近高値となり、200日線を抜けきらずに押し戻される形になりました。週足チャートでは13週線が60週線にデッドクロスしてきました。前回この移動平均線がクロスしたのは、21年3月のゴールデンクロスですから、2年振りの大きな変化です。引き続き相場の主体性は為替にありませんから、広くニュースを見て短期回しをし、押し目買い厳禁場面です。
その他の通貨も大きく売られています。特に堅調だったクロス円は全般に値を消していますが、チャート的に嫌な形になっているのが豪ドルです。前回12月の安値87.02に顔合わせ目前の87.35迄安値をつけています。87円を割り込むと週足で雲を完全に下抜けしてくる可能性が高まります。
同じ資源通貨のカナダドルは今週、完全に雲を下に割り込んできました。2020年11月に完全に雲を上抜けして以来の変化です。現在は96.78近辺ですが、下値のサポートを割ったので、21年5月の91円前後が次の節目として意識されそうです。今回のコロナ相場の安値20年3月の73.76と22年の高値110.52の半値戻りが92円ですから、91-92円の水準はチャート的に警戒しやすい水準です。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより抜粋・一部修正しました。
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・出版社 : 株式会社西東社
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