突如発生した金融不安で預金保護を重点に当局者が早々の対応を続けるさなか、3月22日(日本時間)にアメリカでFOMCが行われ、25bpの利上げが決定しました。利上げは9会合連続で、金利は2007年以来15年ぶりの高水準に到達です。2007年ごろというと、やはり日本が低金利のままで外貨との金利差が注目され、ドル円・クロス円ともに幅広く円キャリートレードが続いてきた最終到達地点の年です。この年に124円の当時最高値をつけてキャリートレードは巻き戻され、よく2008年はリーマンショックとなりました。その2007年以来15年ぶりの水準です。
今回は混乱の中でもインフレ抑制を優先し、小幅の利上げで次の動きを警戒してみるといった雰囲気ですが、利上げは年内あと1回見込まれ、その後は据え置き。年内の利下げはないというのが今回3月のFOMCでのスタンスです。ターミナルレートは5.1%で12月と変わりませんでした。一方、アメリカは別の地銀でも預金流出が続く不安感が出てくるなど、どこからまた新たな火種が出るか分からない状況に警戒が必要そうです。
また今回年内利上げを否定したパウエル議長でしたが、会見自体は直近の銀行セクターについての言及からスタートしました。内容は銀行システムを安全に保つため、あらゆる手段を講じる用意があるとしましたが、その後行われたイエレン財務長官の上院公聴会での発言では預金保護の適用にて、大幅な拡大は検討していない等々、相反する内容がみられたことから市場は混乱しました。スワップ市場はFF金利が年末までに4.18%まで下げると示唆するなど、利下げを織り込む動きになるなど、リスクオフの流れが強まる大引けとなり、ドル円も鈍い動きになっています。もう少し下値を追う動きが継続か。なお、次のFOMCは日本のGWに当たる5月3日です。このGW時期の金融政策会合はアメリカに限らず割と多く動かす材料が出る印象が強いです。GWの連休前にはポジションを整理することを4月中は意識しておくことをお勧めします。特に会計年度末が6月になるオセアニアは何かと動きを見せる時期ですから注意してください。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより抜粋・一部修正しました。
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