4月末から5月月初にかけて好調な経済指標を背景にグンと値を伸ばしていた米ドルですが、1日にファーストリパブリック銀行の破たんが報じられ、また年中行事のような「米債務上限問題」が取り沙汰されるようになると失速し、137.77で前回3月の高値に顔合わせしたところで200日線に頭を押さえられ値を消しました。
さらに5月10日に発表された4月のCPIを見ると、前月比は予想通りの+0.4%で3月の+0.1%からは伸びが加速したものの、前年比で+4.9%となり10カ月連続の減速と約2年ぶりの5%割れが確認され、利上げ期待の後退も加わって一段安の動きになっています。まだ6月のFOMCに向けて指標が出そろったわけではありませんが、大方の市場マインドは「6月の利上げ停止」を確実視し、早いところでは9月利下げという見方も出ています。ただ5月5日に発表された4月の雇用統計を見ると、NFPも予想+18.0万人を上回る+25.3%、失業率も予想3.6%に対し結果3.4%と堅調な数字でした。平均時給も0.5%と昨年7月以来の水準に上昇しており、雇用市場が非常に引き締まった状況であることもうかがえ、年内利下げという見通しはまだ早計で、インフレ率が高止まりであれば再度利上げ再考という可能性も十分にあるので、年後半に向けて考えていくのはまだ難しい状況です。もう少し出てくる材料を吟味しなければ、トレンドイメージを作ることはできません。つまりは長期投資を考える場面ではないので、早回しのスウィングで動きを見るうえでも21日線の動きも注目してみてください。また今後はFRBメンバーの発言が増えてきて、その内容にドルの動きが影響されると思いますから、ご注意を。
また国内から円高要因として、国内大手生保2社は2023年度は米国債から日本国債にシフトを進めると報じられています。第一生命は為替ヘッジ付きの米国債を減らし、日生はヘッジ無しのオープン外債に慎重になるという姿勢を示していることから、為替リスクに対する慎重姿勢がうかがえますから円高ドル安の要因になりえる材料です。来月には年後半のドルの動きをもう少ししっかりクリアに考えていく必要があると思いますが、こうした材料も疎かにできませんね。
さて来週末は広島サミットです。バイデン大統領は無事に来られるでしょうか。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより抜粋・一部修正しました。
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・出版社 : 株式会社西東社
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