ドル円相場が140円台に達したタイミングで、日銀・財務省・金融庁の三者会合が報じられドル高に冷や水を浴びせました。とはいえ、まずは姿勢を示しているだけですから、ドル円相場に大きな影響を与えたわけではありません。ただインパクトはありました。皆の頭によぎるのが昨年の介入です。昨年は145円を付けたところで当局は9月22日、24年ぶりの円買い介入を実施しました。ただその後は再びドル買いに拍車がかかり、151円円台を付けた10月21日のNY時間に覆面介入を実施し、これで円安は高値をつけてピークアウトしました。神田財務官がドル円140円を付けたところで為替についてコメントをしだすとその時がよぎりますね。まだコメントは穏やかで行動を示すようなものではありませんが、円安が続くようだと変化が出てくるので注意すべき水準に近付いていることは頭の隅に置いておきます。
さて、このところ報道が増えてきたのが中国の景気減速懸念です。ゼロコロナ政策も終わり、いよいよ経済回復が期待されましたが、5月の製造業PMIは2カ月連続マイナスで、内訳をみると新規受注と生産が鈍いままです。月初に発表される財新5月製造業PMIは予想に反し50.9と回復し、生産と需要の改善がみられるサプライズにはなりましたが、当局発表の数字が悪い点の方が強く意識される地合いとなっています。さらに中国内で新型コロナ感染がまた増えており、不動産価格は鈍いままと経済に影を落とすようなニュースが続いています。
中国からの本格的な需要が増えないことから商品市況は全般的に重いままで、原油は3月以来の安値まで下げており、鉱物資源全般が冴えません。さらに習近平国家主席が就任以来進めてきた一帯一路政策による不良債権が10兆7千億円まで膨らんでおり、金融市場に悪影響となるインパクトの一つになっています。中国経済の景気立ち直りにはもう少し時間を要しそうです。
さて、6月1日に米上限債務上限法案は下院で可決し、上院に送付されました。上院は可決見込みが強いので、これで年中行事はいったん終了です。来週はRBA(豪)、BOC(加)の金融政策会合が行われ、月央は主要国が続きます。インフレ動向を見て今後の金利政策を探る動きが続きます。各国とも利上げが続いてきた過渡期です。利上げ打ち止めを示したRBNZのような内容が他中銀出てくる可能性も否めません。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより抜粋・一部修正しました。
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・出版社 : 株式会社西東社
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