FEDインフレ見通しの見誤り2023.06.16

 注目された6月のFOMCは、政策金利を5.00-5.25%で据え置きました。ゼロ金利解除をして以来、11会合ぶりの利上げ見送りです。この内容自体は予想通りであり特段のサプライズはありません。しかし、同時の会合の中でFOMCは年内あと2回の利上げを示唆し、これがサプライズとなって米株は急落しました。ただ、全体的に強いタカ派という内容ではなかったので株価も持ち直しましたが、先行きに不透明感を感じさせたのは「FRB当局者は2年半前に始まった今のインフレについての見通しを見誤った」とインフレについて楽観的過ぎたことを認めたことです。今回は政策金利を据え置いて、5%台の政策金利の利上げの累積効果を見極めるとしています。実際にFOMC結果公表前に発表さえたCPIは予想をやや下回るもので、これも据え置きの最終決定の背中を押したのかもしれませんが、コア指数は高止まりしています。このままインフレが止まらなければ据え置き分も含めた対応が必要になる可能性もあり、今回の決定が足を引っ張らないかどうか注意してみる向きが多いと思います。

 

 ドル円は15日の日本時間に対円で141円台に上昇し7カ月ぶりの高値となりました。まだ後年内2回の利上げを示唆したことと、インフレの見通しが「思ったよりも強かった。楽観的過ぎた」と当局が言っているわけですから、目先ではじりじりとドルを買う動きが強まりそうです。ただ、前述したように当局のインフレの見通しがころころと変わっており、節目節目で利確してガラッと方向転換されたときに高値の買いを掴まないよう見ておきたいです。昨年の高値151.94から今年の安値127.21の61.8%戻しが142.50なので、この辺りはチャートを見る人が意識するゾーンの1つかと思います。
 
 その他、NZが1-3月期のGDPを公表し、2四半期連続マイナスでリセッション入りしました。とはいえ、経済は堅調ですしNZドル相場には大きな影響はありません。高インフレとコロナ禍の影響を受けた一時的なリセッションで経済の大きな停滞ではない認識であり、対円で見れば2015年の高値を抜いていない数少ないクロス円通貨です。政策金利も高いですからリセッション脱却に向けて押し目で少し拾っていきたい通貨の1つです。

※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより抜粋しました。

 

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