ドル円相場が昨年9月以来の144円まで上昇してきました。連日神田財務官や財務相の為替に対するコメントが報じられており、介入警戒の雰囲気が強まってきています。介入に現実味が出るのはもう少し水準が上がったところだとは思いますが、それを市場が誘い、政府サイドがけん制発言をするという地合いがしばらく続きます。特に日本時間は発言に注意し、145円をしっかり超えてきたら、24時間警戒が必要になります。思い出してください。昨年10月21日金曜日に151円台まで乗せたときの当局の対応は、午後23時半ごろ、151.63水準からの覆面介入でした。日本時間だけが介入を実施するわけではありません。
ただ、単純にドル円相場だけを比較すれば、昨年の9月以来です。ただ、今回の円安と前回の円安には大きな違いがあります。前回昨年秋の円安は、ドル独歩高による円安でした。ただ、今回はクロス円においても円安。ユーロは2008年以来の高値を付け、スイスフランは史上最高値更新中です。英ポンドはブレグジットの選挙直前である2015年末以来の高値まで上昇してきており、新興国通過を見ればメキシコペソなど無双状態です。つまりは円独歩安の展開。
この円の独歩安の大きな要因はやはり日銀が続けている金融緩和による影響で、ファンダメンタルズ相場の昨今、円はどの通貨に対しても更なる安値更新を覚悟せざるを得ない状況ですから、「日銀がいつ考えを変えるか」は次第に最重要テーマになってきました。今このテーマが棚上げになるとしたら、他の大きなインパクトある(比較的ネガティブな)材料が出る以外ないかもしれませんね。
日銀の植田総裁は今週ポルトガルで行われているECBフォーラムに初参加し、今後の金融政策の方向性については「2024年も物価高が続いていれば方向転換が必要だが、見通しについてはまだ不確定」とコメントしています。またパウエルFRB議長は「年内2会合連続利上げが必要」と発言し、まだまだFRBは利上げトレンドが続くという見方が強まり、現状日銀はハト派姿勢を示し、アメリカは6月のFOMCでの追加利上げについてパウエル議長が明確に再度示したことでタカ派継続となりドルの堅調さは続いています。
その他目についたのは、豪ドルです。6月の会合でサプライズ利上げを実施しましたが、28日に発表された5月月次のCPIが急降下して+5.6%となり、2022年4月以来の低水準となりました。同国の重要指標は四半期CPIですが、それでは即応できないと近年月次を公表するようになりました。インフレが月次で急降下したのは一時的かどうか見極める意味でも、次週4日のRBAでの利上げ予想に反して据え置きの可能性が強まり、豪ドルも97.67を高値に下落しています。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより抜粋しました。
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・出版社 : 株式会社西東社
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