先週末に日銀の内田副総裁の「YCC修正はバランスをとって判断」という発言から、日銀のYCC修正懸念をトリガーに円買いが進み、ドル円は144円台から急激な円高で140円割れを示現し、円高を嫌気して日本株は大きく下げていました。
こうした中で12日、アメリカの金利動向を見極めるうえで注目されるCPIが公表され、前年比予想+3.1%に対し、+3.0%と下回り、2021年3月以来の低水準になり、伸び率12カ月連続で鈍化しました。コア指数も前年比で+4.8%となり、こちらも2021年10月以来の低水準です。パウエル議長もインフレ動向を見極めるうえで注目している住居費を除くスーパーコアも前年比で+4.0%と高水準だが6カ月連続で縮小しているなど、じわじわとインフレが鈍化している傾向が表れる結果となりました。
CPIを受けてドルは全面安の展開となり、14日には137円台までさらに円高が進んでいます。またドル円の動きが波及してクロス円も全般的に円高傾向になっていますが12日に金利据え置きを決定したNZドル円は反転して円売りに。同じく12日に追加利上げを決定したカナダドル円はずるずると値を消すなど通貨ごとにまちまちの動きになっています。
CPIを超えて残すは月末のFOMC、ECB、そして日銀の会合を控えますが、FOMCについては7月の追加利上げ予想は変わらず、ここで打ち止め感が出るのではないかという見通しが強まっています。今回のCPIを受けて、インフレは鈍化してきており、これまで言われていた「追加で年2回の利上げ」は不要という見通しが非常に強まっています。次の流れは「利下げ転換」ですが、これはまだ時期尚早です。ただ、時期尚早とはいえ、手掛かり材料が無いときには言葉尻を取ったドル売りトリガーになりやすい時期にはなってきていますから、ドルロング目線は終了だと考えます。ただし、ドルショートにドテンする場合には日米の金利差が大きく支払スワップが日々かさみますから、金利差が小さい通貨でのドルショートを考えてください。
日銀のYCC修正懸念ですが、さすがに今月それはないだろうと思います。むしろ、浮上していた介入懸念がドル売りによって後退していることもあり、現状維持で十分な地合いになりました。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより抜粋しました。
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