8月に入り、7月末の各国中銀の金融政策結果も織り込んだ相場は、手掛かり材料が無い膠着状態になっています。こうした地合いの時は金利差を見た取引に終始されますので、じりじりとした円安相場が続いています。
こうした中でまだ相場に影響はしていないですが、今後見越しておかなければいけない点の1つが、9日に外務省が発表した中国政府が訪日団体旅行を解禁するというニュースです。過去の中国人団体観光客ほどの購買需要が残っているかは今の中国経済を考えると疑問符が残りますが、とはいえ溜まったエネルギーの発散には期待が出てきますから、近い未来の円高要因の1つです。
その中国関連では直近で経済指標の悪化が報じられ、景気減速が一段と不安視されている中国の影響を過分に受けやすいオセアニア通貨は冴えない展開が続いています。このタイミングでアメリカのバイデン大統領は9日、AIや半導体、量子技術などを開発する中国企業への投資を規制する大統領令に署名しました。中国側の反発は必至ですが、中国経済への締め付けは軍事力増強への抑制にもつながっており、経済も鈍化と、中国政府の難しいかじ取りを迫られている状況です。先週末から北戴河会議が行われており、特に先端技術企業のトップとの会談等が行われたと報じられていますので、今後何らかの景気浮揚策が出てくる可能性がありそうです。そうした反発狙いでオセアニア通貨の下げを拾っておくのも目先的には面白そうです。
さて、当コラムは10日の東京時間に書いておりますが、この後夜のNY時間にアメリカの7月CPI公表を控えています。9月の追加利上げの是非を考えるうえでも非常に重要な指標です。ロイターの予想中央値は前年同月比3.3%で前月の3.0%から加速、コアは4.8%で前月と変わらずとなっています。この予想が上振れるようだと、ドルの一段高で6月に着けた高値145円を抜いてくる可能性があります。余りに上振れなら一瞬で上抜けとなる可能性も。そうなると、昨年秋につけた最高値151.94からの右下がりの上値抵抗線を突破してくるので、チャート的にも大きな変化となります。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより抜粋しました。
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