7月末の日銀YCC修正やFOMCが通過し、円売りの鈍化がみられていましたが、8月第2週以降は再び切り返して6月末の高値145.06を一気に抜き、8日続伸で現在146.56迄上昇しています。16日に公表されたFOMC議事録(7月開催分)が追加利下げの可能性を高める内容だったため、一段とドル売りが加速しました。米10年債の利回りは4.27%まで上昇し、2008年6月以来の水準となっています。ちなみに2008年6月当時のFRBの金融政策動向は、リーマンショックの前にサブプライムショックが発生し、円キャリー相場は事実上終わりを告げていました。当時は政策金利は利下げに転じていたところです。
さて、現在のドルの上昇は米追加利上げ期待の高まり等を背景にしていますが、対円では直近高値の145円をあっさり上回ってきましたから、財務省・日銀の動向に注目が集まります。特に先般の日銀会合後の会見で植田総裁はYCCの修正について「今回は為替市場のボラティリティも含め考えている」と為替相場に言及する異例の内容が込められていましたから、円安がこのまま続けば動かざるを得ないのではと推察されます。「どうせやらないだろう」と見ていそうな海外勢と、神田財務官の動きを追う国内勢とでやや温度差がありますが、円安がプラスに作用する株式市場が今は振るいませんから、ここで円買い行動となると、一段の株安への懸念もあり、日銀も動きづらい状況ではありそうです。
ちなみにドル円は現在8陽線ですが、前回これだけドル円相場が続伸したのは5日を振り返ってみると、昨年10月に12陽連がありました。その直後、151.94のところで金曜日のNY時間に日銀が異例の覆面介入を実施してそこからドル円相場は大きく下げていきました。その時の米10年債利回りが今と同じように4.33迄上昇していました。これだけ揃ってくると、油断が出来ません。
さて、来週末は夏の終わりの恒例、ジャクソンホール会合です。中国経済の鈍化が深刻さを強めつつある中ですから、各国のインフレ抑制と金利動向、今後の経済見通し等、何かしらのヒントを掴みたいと注目度が増します。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより抜粋しました。
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