いよいよ2010年以来、夏の終わりの風物詩となったジャクソンホール会合が開催されます。もともと長く伝統のある経済シンポジウムでしたが、2010年に当時のバーナンキFRB議長がQE2を示唆する発言をしました。当時、このジャクソンホール会合に出席していた白川日銀総裁は、予定を変更して急遽帰国し日銀臨時会合を招集して追加緩和を決定するなど、大きく影響を与えました。当のアメリカはその後の9月のFOMCでは追加緩和に含みを持たせ、翌回の11月にQE2の実施を決定という流れになりました。これ以降、ジャクソンホール会合での中銀関係者の発言が注目されるようになり、夏の終わりの風物詩として強い存在感を発揮しています。
過去に大きな影響を与えたのはFRBだけではありません。2014年には当時のECB総裁だったドラギ氏が追加利下げを言及し、実際に9月の会合で利下げを決定しました。各国の金融関係者が一堂に会すシンポジウムだけに、耳を澄ませたい会合です。
とはいえ、毎年今後の金融政策を示す発言をするわけではありません。無風で通過の年の方が多いのが現実です。
今回はFRBがまだ利上げを継続するのか、それともすでに打ち止めの意識であるのか等が少しでも伺えればというのが市場参加者の目ですが、中国の経済問題もあるので、ハト派な発言はリスクオフに強く火をつける可能性を考えると、慎重なコメントで終始すると思われます。それでも何が出るかがわからないから、むやみに手出しをできないのが今の地合い。無理に手を出す場面ではないと思います。会合が終わって少しトレンドが出るまで待ちの姿勢で見ています。
ジャクソンホール会合以外に目を向けると、中国の経済鈍化の煽りを受けてオセアニア通貨が非常に鈍い動きになっています。豪ドル、NZドル円ともに21日線で上値を抑えて右下がりになっており、特に豪ドルは7月中旬にロウ総裁の更迭、次期総裁が発表されたあたりで週足陰線つつみ足になっていました。ロウ総裁は政府の意向を組まずに早期に利上げを実施したことで続投とならず、1期で退任となります。今度の9月の会合が最後のRBA会合になりますが、前回8月に利上げ期待を跳ねのけて据え置きとしましたので、今回も退任が決まった中で無理はしないのではないかと思われます。まだオセアニアは軟調な動きが続きそうです。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより抜粋しました。
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