先週末に公表された9月の米雇用統計はNFPが予想+17.0万人に対し、+33.6万人とポジティブサプライズになりました。過去8ヵ月間で最大の伸びとなり、追加利上げ期待が強まるドル買いの動きになりました。
それ以上にサプライズになったのが、週末のハマスによるイスラエル侵攻でした。週明けには原油が高騰し、カナダドルも反転上昇。有事のドル・米国債買いでドルも堅調な動きになっています。ユーロドルの日足チャートを見ると、10月2日に安値を付けて以降、雇用統計も追い風に現在に至るまで堅調なドル高です。さらに逃避通貨の最たるスイスフランはV字型の切り返しで上昇して、対円で165.61まで高値を付けてきました。遠くの戦争は買いという素直な動きになっています。
今回攻撃を受けたイスラエルは与野党で挙国一致内閣の樹立が合意され、12日に戦時下の中、新内閣が発足しますので、今後しばらくは戦争状態が続くことが懸念されます。長期化すれば再びインフレの芽にもなりかねませんので、そのあたりは動向に気を付けておきたいところです。世界有数の諜報機関・モサドを持つイスラエルがなぜ今回これほど大規模な動きを感知できていなかったのか第一報から疑問でしたが、マンパワー不足により技術に力を入れたハイテク戦略に傾斜していたようで、アナログに固執したハマスが優位に動いた展開で、これもまた現代社会の問題点が炙り出された印象です。
地政学的リスクというと、カナダとインドもシーク教の指導者殺害をめぐり関係が悪化しており、アジアにはほかにも国内政治や経済も大きく崩れてきている中国がいますので、こうした地政学的リスクが各地に潜在していると、米ドルを買わずとも売れません。
月末にかけては25日にBOC、26日にECB、そして日銀、FOMCと中銀会合が続きます。FOMCについては来週末にはブラックアウト期間に入りますので、それまでの要人発言に注意しておきましょう。
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