ドル高ならぬ円安2023.11.10

 先週末の雇用統計を通過し、いったん手掛かり材料が薄い展開になっています。3日に公表された雇用統計はNFPが予想+18万人に対し、結果+15万人。失業率も+0.1%悪化し3.9%という内容で、市場はドル売りで反応。この結果を受けて金利スワップ市場は利下げ時期を従来の来年7月から6月に前倒し、来年中に3回の利下げを視野に入れる動きになりました。
 

 とはいえ材料が通過した週明け以降は再びドル円相場は切り返して150円台を突破し、日銀が介入する警戒水準に到達しました。ドル高ならぬ円安。またドル円に日銀介入スタンバイという値ごろの陰で、クロス円もかなりの水準まで上昇してきたものが目立ちます。ユーロ円は直近で161.73まで上昇してきましたが、この水準は2008年8月以来。過去最高値は2008年6月につけた169.96ですが、当時は高値を付けた後に急落。そしてリーマンショックを経て欧州債務危機に陥り、100円割れまでユーロ安の進む展開がありました。その時の史上最高値に次ぐ水準まで現在約15年ぶりに上昇してきています。以前から触れているスイスフラン円は中東情勢悪化で再び強い動きを取り戻し、現在も167円台です。ちなみにリーマン前のスイスフラン円の高値は105.07、リーマンショック後安値が74.85ですから、その当時の2倍以上まで上昇しています。そのほかアジア通貨に対しても広く円安地合いになっていることなどはご承知の方も多いかと思います。

 こうした円安の中でも変化に注意したいのが、オセアニア通貨です。豪準銀は今週、25bpの利上げを決定しましたが、おおむねハト派的な内容だったことから、市場の失望売りが相次ぎ日足で高値の陰線包み足となる豪ドル売りとなりました。対円では円安地合いが後押しして大きな下げは見えませんが、対ドルなどではかなりきつい売りになりました。NZも同様です。となると、対円では今後も動きが鈍そうですし、リスクオフに見舞われれば売りも強くなりそうですからクロス円全般が円安地合いとは言え、手出し無用と考えます。

 目先はドル円介入スタンバイに警戒継続です。特に手掛かり材料がいったん通貨した今週から来週にかけては、日銀介入に要求の円売りが一段強まる可能性も見て注意です。こうした動きの外にいたいのならばドルストレートのドル売り一考です。

※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより抜粋しました。
 

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