昨年暮れから年始にかけての主要通貨に対する「早期利下げ、複数回利下げ」という見込みが大きく変わる発言が相次ぐ相場地合いになっています。
米ドル、ユーロ共に今年の早期大幅利下げ開始という思惑が強まっており、通貨の売り材料にもなっていましたが、現在は利下げ開始時期を先延ばしにするような発言に終始しており、ドル円、クロス円ともに買戻しの円安地合いとなっています。今週は16日にウォラーFRB理事が「インフレの低下が持続すると明確になるまで利下げを急ぐべきではない」と発言。17日はラガルドECB総裁がECB主要メンバーの発言が相次ぐ利下げ開始時期は夏以降という内容について質問され、自身の考えも今年の夏以降が適当であると発言しました。
こうした発言を受けて利下げ時期の後退を材料に、ドル円相場は1ヵ月半ぶりの148円台乗せ、ユーロ円も12月の安値153.18から直近は大きく買い戻されて161.39まで上昇してきました。金利先物市場はECBとRBAの利下げ開始時期については春の見込みを6月に後退させ、こうした市場のコンセンサスの変化でクロス円も軒並み円安です。
この年始からの堅調な円安によって、日本株も強い追い風になるという相乗効果になっています。
今の強い円安については、利下げ時期の後退よりもまずは海外投資家の日本株買いによる為替ヘッジが大いにボリュームを持っていると考えられます。昨日も中国の日経平均ETFが過熱による売買停止になるなど報道がありましたが、今年の1月から始まった新NISAでの国内個人投資家の株買いを見込み、昨年暮れから外国人投資家が日本株を積極的に買い始め、こうした買いの為替ヘッジが円安を押し上げる結果になっているということですが、つまりは日本株買いから手を引くときは、為替ヘッジも解消になる=円買いが強まるという懸念も見逃せません。今は円売りですが、このボリュームで反転したらかなり厳しい巻き戻しの動きになる可能性があります。いつも以上に「ロスカット」を入れておくことを忘れずトレンドに乗って外貨の押し目買いが妙味が高そうです。
来週は22-23日の日銀を皮切りに、2024年の金融政策会合が目白押しです。24日はBOC、25日ECB、そして翌週はFOMC、BOEです。各国とも利下げ開始時期についての温度が前回からどう変化したかをしっかり見ていきましょう。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより抜粋しました。
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