日銀は、大規模な金融緩和策の修正に向かって前向きな意見が政策委員から相次いだことが、31日に公表された主な意見で明らかになりました。「マイナス金利解除の要件は満たされつつあり、能登半島地震の影響を1~2ヵ月程度確認した上で金融正常化可能と判断できる」と盛り込まれ、展望レポートが公表されない3月の日銀会合(3月18.19日)の会合でマイナス金利解除の決定がなされる可能性が高まっています。
日銀が金融正常化に動き出すと、日銀会合の日程だけでなく展望レポートの公表、主な意見、議事要旨によって更なる思惑を高めることになりますので、今年の日銀のスケジュールはしっかり押さえておいたほうが良さそうです。
また31日はFOMCが行われ、4会合連続金利据え置きを決定しました。全体的に市場の前のめりな利下げ期待に対するけん制が入っており、3月会合での利下げはを否定するなど早期利下げ期待は後退しましたが「政策金利はサイクルのピークにある」と利上げ打ち止めを宣言。またほぼすべての当局者が(次の行動は)利下げが適切であると考えていることも議長発言に盛り込まれました。今回のFOMCを受けて、米金利先物市場が織り込む3月利下げ確率はFOMC前の42%から35%に低下しましたが、5月確率は79%から97%まで上昇しました。
また労働市場が予想外に弱まれば確実に早期利下げを実施するとしていることから、労働省が公表する雇用統計やその前哨戦となる民間統計等、注目度が一段と強まります。明日(2/2)発表の1月雇用統計ですが、NFPは前回が21.6万人、今回予想は17.8万人。失業率は前回が3.7%、今回予想が3.8%とともにやや悪化が見込まれています。この労働市場の状況がやや悪化で済まなければ、マーケットの先走り(早期利下げ)が再びドル相場を動かす可能性もあります。雇用統計は22時30分に発表です。
今はまだ日米金利差があり極端な円高になる地合いとは言い難いですが、日米の金融政策は真逆に動いていきますので、春に向けてトレンド変化が出てくる可能性は否めません。ここからドルを買うのはどうか。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより抜粋しました。
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