直近の最大の注目となっている日銀の金融政策決定会合が来週18-19日に行われ、19日の午後に結果が公表されます。マイナス金利の解除が焦点となります。日銀が今後の金融政策を決定するための重要なファクターとしている賃金の上昇について、13日は春闘の一斉回答日でしたが、多くの企業が満額回答をしています。15日にはこれらのベア回答を集計して公表される予定で、市場は先回りしてマイナス金利解除を織り込んだ動きになっています。
実際には発表されるまで結果は分かりませんが、日銀は発表時間を定めていませんので、当日は思惑で右往左往させられる展開は前提にしておいてください。過去10年の日銀の発表時刻を見ると、直近で最大の決定であったコロナ対策(ETF買入拡大)の2020年3月16日の前倒し開催は14時6分、フォワードガイダンス導入の2018年7月31日が13時3分、マイナス金利決定の2016年1月29日が12時38分というところですが、現状維持は早くて11時30分とだいぶ時間に差があります。体感としては12時半すぎたら何らかの変化があり、13時過ぎたらより強い変化を発表するだろう、13時半すぎたら「ヤバイ!凄いの来るかも」という感じです。市場の織り込みも概ねこの体感通りに動いてきますから、19日は前引け前後より臨戦態勢で見ていてください。
日銀が予想通りマイナス金利を決定したら、一旦は円買戻しになるでしょうが、すでにこれだけ織り込まれていますから大きな突っ込みは期待できません。後は植田総裁の会見次第で、継続的な引き締めを示唆する内容があればさらに円買いが加速する、一旦様子見ならドル買戻しになると思います。
というのも、米並びに欧州は昨年暮れからの利下げ期待が日々後退している印象です。米のファンダメンタルズ的には利下げは年2回が妥当ともいわれ、最初の利下げ時期もどんどん後ずれする見通しに変わっています。
ただ、為替は大いに政治の影響を受けます。8日にバイデン大統領は選挙演説の中でFRBが金利を引き下げることを示唆。インフレ高が進み国民の生活が厳しくなる中、11月の大統領選挙に向けて金利を引き下げる対策を取りたい政権与党が為替を有権者に向けたアピールとして発言しています。ファンダメンタルズ的には現状維持が妥当、政治は利下げを要求とFRBも難しい立場になっています。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋しました。
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