4月26日の日銀金融政策決定会合が無風通過だったことから警戒された円安進行は、29日(日本は祝日)には160円を突破する続伸となり、その日の13時以降から介入とみられる円買いで一時155円まで値を消しました。ただこうした介入は買い場を与える動きになり、反発してその後5月1日には158円をうかがう展開になり、5月2日のNY株式市場が引けた直後の早朝5時過ぎに再びの介入で153円、そして3日に公表された米4月雇用統計が鈍かったことで米ドル売りがさらに進み、一時151.87まで一気に週内で一気に10円近い下げ示現となりました。
政府・日銀サイドは介入についてコメントしませんでしたが、5月9日(木)には一部報道機関に関係者が2回の介入を認めたと報じられました。(神田財務官はその後否定)規模はおよそ8兆円に上るといわれています。とはいえ再び現在は155円台まで値を戻していますので一筋縄ではいきません。ただこのところ迷走?に近かった日銀発言も、9日には介入に対してかなり前向きな姿勢に変化してきたので、足並み揃えて為替相場を警戒していくことが確認された形です。
その他、欧州では利下げの波がじわじわと広がっています。3月にはスイスがサプライズで9年ぶりに利下げを実施しましたが、8日にはスウェーデンが同じく8年ぶりに利下げを実施。チェコやハンガリーも利下げを行っています。いずれも欧州の国々ですが独自通貨を採用していますのでユーロ動向とは関係ありませんが、続いてECBも6月には利下げを行うことが確実視されていますので、そうなると欧米金利差の拡大でユーロ安、米ドル高となりかねない不安が高まります。こうした米ドル高もまた、ドル円相場にも円安懸念の要素となりますので、介入効果に対して疑問視されても致し方ありません。とはいえ動かなければ一段の通貨安戦争にもなりかねないので難しいところです。日本同様に韓国中銀もウォン安防衛で外貨準備を減らしていますので、各国とも通貨政策が非常に厳しい状況になっています。
アメリカは昨年末の利下げ予想が今年に入ってから徐々に後ずれになっています。それはインフレ動向と照らしても致し方ありませんが、4月の雇用統計はちょっと今年前半の動きを変化づけるものだったかもしれません。今回の雇用の鈍さが一過性か異なるか、次回5月の内容に注意してください。また雇用が鈍化したタイミングで来週公表されるCPIが予想を下回ると、後ずれした利下げ開始予想がまた変化するかもしれません。それはドル売り材料になりますから、来週15日のCPIは要注目です。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋しました。
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