GW期間中に日銀の介入(とおぼしき)行動があり、以降ドル円相場は155円を挟んで小動きになっています。2回にわたる円買い行動が見られましたから、一段の介入警戒感で買い上がりづらい状況です。加えて直近では介入に続いて円防衛で日銀も政策行動を行うのではないかという見通しも踏まえ、長期金利は11年ぶりに1%台まで上昇してきました。これは円サイドの見通しですが、反面ドルサイドは高止まりしているインフレを背景に、FRB要人発言は利下げ開始時期の後退を示唆する発言が続いています。FRBが注視するPCEデフレーターの発表が5月31日にありますが、すでにこれだけ発言が出揃っている以上、実質年内の利下げは無いと踏まえてドルは底堅い展開になりそうです。ただ円安も受け入れがたい水準と日本当局が見ていることも分かるように、強弱が難しく膠着が続きやすい地合いになってきました。
しかしアメリカのインフレは高止まりが続いていることで、国民生活は日々非常に苦しい状況になっていることも否めません。先般業績悪化を発表した米ディスカウント大手のターゲットは、約5千品目の値下げを発表しました。牛乳、肉、パン等生活必需品が対象であり、長引くインフレで消費者の生活を圧迫していることを背景に掲げています。米株は4万ドル乗せとなり企業業績は堅調。でもインフレで個人の生活は苦しくなるスタグフレーション傾向が日々強まっている状況ですから、6月7日の雇用統計で万が一悪化が確認されるようだと一段と警戒感が強まりそうです。
目先は欧州通貨の政策変更に焦点が集まりそうですが、先般5月16日に公表されたECB金融安定報告の中で世界各地で相次ぐ選挙によるネガティブサプライズを警告する内容が示唆されていましたが、7月4日には2019年以来の英総選挙が決まり、14年ぶりの政権交代が警戒されます。英国も6月のMPCで利下げの可能性が高まっていましたが、22日に公表された4月のCPIは予想よりも強く、利下げに転換する材料としてやや失しました。加えて政権交代の可能性が高い選挙が決まったことで、政策変更は見送られるのではないかと考えます。
又政治に関連するところでは、5月20日に台湾の総統に与党民進党の頼清徳氏が就任しました。最後まで支持率の高かった蔡英文前総統から政策も引き継ぎ、対中路線派です。中国は早速台湾近郊の海域で威圧的な演習を行うなどの行動を見せています。
そして選挙といえばアメリカ大統領選挙を11月に控えています。そろそろ本格化してきますから両陣営の報道にも相場が警戒し始めてきます。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋しました。
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