お盆休み中もボラティリティの高い展開が続いていますが、イランがイスラエルに攻撃するという危険性がアメリカから発せられて3週目となり、地政学的リスクが発生しないのは良いことですが、次第にそうした懸念に相場が反応しなくなってきたのが少し気持ち悪く感じています。こういう時こそ気を緩ませられません。また今は為替相場全体が次のトレンドに入ったわけではなく大きな下落相場の揺り戻しであり小休止場面と捉え、次のトレンドは上か下か、しっかり見極めて判断していきたいと思います。
次のトレンドをうかがう上で、来週後半に開催されるジャクソンホール会合は大きな注目イベントです。2010年に当時のバーナンキFRB議長がQE2を示唆する発言をして以降(実際に同年11月のFOMCでQE2決定)大きな注目度を集めるイベントになりました。今ではここでの発言は大きな方向性を示すものになるため、あえて意図をもって発言をする場に変化していますから、今回パウエル議長が利下げ時期を言及するような内容等出るはずはありません。ただ、何らかの意図を市場に知らしめたいならばあえて織り交ぜてくるかもしれませんから、そうしたものがあるかどうかを占ううえで注目したい場です。
さて、現在のドル円相場は突っ込み安値の141円台から切り返して147円前後で小動きです。週足では先週雲に大きく突っ込んでいきましたが跳ね返して、今週は雲が抵抗ゾーンになっています。このドル円相場の年足チャートを見ると、現在3年連続陽線で、今年も現時点では陽線です。1979年以降現在までの年足チャートを見ると、年足が4年連続陽線になったのは1981年から1984年までと、2012年から2015年にかけての2回だけで、その4年の間に一度は十字足に近いローソクが出現しています。今年の年足はまだ終わっていませんからこれから陰転するのか陽線のまま引けるかは分かりませんが、今年の始値は143.24ですから割り込めば陰転です。たとえ陽線のまま終わっても、来年陽線になる可能性はこの近年の年足チャートを見る限りはかなり難しいと考えられます。
こうした長期的なチャートを見ると、やはり戻り売りで下げトレンドを考えていきやすくなります。問題は、その下げのスタートがどこかであり、現在はショートで入る場面ではない。今は下げトレンドに向かう前の小休止を買いで小すくいで取るような局面と考えます。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋しました。
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