先週末のジャクソンホール会合でパウエル議長が利下げ開始を示唆する発言をしたことが取りざたされ、米株は2日連続史上最高値更新、ドルは軟調と継続的緩和路線に向けて金融市場が完全に舵を切りました。「政策を調整する時が来た」という文言が9月の利下あげ開始織り込みの手掛かり材料になっています。インフレ率も目標に近づいているという判断の中、9月の利下げ見通しは揺るぎないものになりつつあり、次のポイントは利下げ幅となっています。
本日時点でのフェドウォッチは25bp利下げ予想が63%、50bp利下げ予想が37%となっていますが、9月17-18日に開催されるFOMCを前に、経済指標の結果により利下げ幅の見込みが変化してきます。まずは来週末9月6日に公表される8月雇用統計です。失業率は前回が4.3%、今回予想は4.2%と0.1%低下見込み。NFPは前回が11.4万人、今回予想は15.5万人とやや回復を見込んでいます。ただジャクソンホール会合でのパウエル議長の講演内容を見ると、「労働市場の冷え込みは間違いない」と労働市場の悪化にかなり警戒感を持っていると感じられ、雇用の鈍化が予想以上に早い場合は緩和を急ぐ可能性につながりますから、一段の米株高、ドル安の流れが進みかねません。
その他9月11日(水)は8月CPIも公表されるため、この結果によってFOMCの方向性が決定づけられるのではないかと警戒される重要指標になります。
ドル円相場は8月30日のNYクローズで月足の陰線が確定します。149.91を超えて引けなければ陰線ですからまず間違いないでしょう。161.94の史上最高値を付けて7月に大陰線となり、2カ月連続で陰線です。今月で24カ月線を下抜けてきました。これはコロナ暴落から戻して上がり始めて2021年3月以来約3年超ぶりの変化です。
その他の対円通貨を見ると、次の動きに向けて方向感のない通貨が多い印象ですが、ユーロ円の日足チャートを見ると、21日線がきれいな上値抵抗ラインになって、21日線からつかず離れず下向きの線に沿って下落していますから戻り売りに妙味があります。英ポンド円は200線が強い上値の壁になっており抜けません。200日線で売り、下に放れたら買いなど短期のヒントになりそうです。
秋相場入り直前の目先材料が消化した今は無理してポジションをとる必要はないと思いますが、秋相場に向けての注目点をしっかり押さえて臨む準備はお忘れなく。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋しました。
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