6日に公表される米8月の雇用統計の予想中央値(ロイター)は次の通り、失業率は▲0.1%の4.2%、NFPは+16万人増で7月の11.4万人から加速となっています。7月のNFPの改定値がどのような数字になるか、また7月の悪化した水準が一時的なのか、そうではないのかという点が見極めどころになりそうです。4日に発表された7月のJOLTS求人件数は767.3万と3年半ぶりの低水準に落ち込み米景気の後退懸念の売り材料となりましたが、これは7月の数字です。実際の8月雇用統計が改善されるか、その期待予想が裏切られるかという点が大いに注目です。裏切られるようであれば、米景気後退懸念に一段の拍車がかかる可能性もありますから、近々の雇用統計の中でも一番重視して臨みます。
とはいえ、9月の利下げについては先般のジャクソンホール会合でもパウエル議長が「お約束」したようなものなので、後は利下げの幅等ペースが中止されてきます。連続して大幅な雇用の悪化が確認されれば利下げ幅の拡大が目先の重要テーマになりますが、そうでない限りはあまりに過度な利下げペースを前提に考える必要は無さそうです。ただ日米金利差で見るべきですから、日銀の動向が注目です。次の利上げ時期と照らして考えていくことになりそうです。今はまだ日銀よりFOMC。戻り売り目線で見ていましたが、雇用統計で一旦買い目線になる可能性もあり、今はスクエアです。
さて、さらに米景気の方向性に注目が集まるのが次の米大統領です。来週10日には米大統領候補者の討論会が予定されていますが、バイデンからバトンを受け取ったハリスの猛追はご存じの通りで、米金融大手のGSはハリス氏が勝利であれば米経済は大幅に加速、たいしてトランプ氏が勝利した場合は関税や移民政策からの経済成長への打撃は財政のプラス効果を若干上回り、GDPに対する押し下げはピークの2025年上半期で0.5ポイントに上り、2026年に和らぐ」と予想しています。
ドル円相場を見ると、バイデン大統領が就任した2021年1月から史上最高値までの上昇が56%のドル高でした。対してトランプ大統領就任の2017年1月からの4年間を見ると、就任時の112円が一番高く、以降はドル安が続き、▲8%となりました。コロナやウクライナ戦争等大きな変動要因や経済の循環もありますが、極端に大きく異なります。バイデンの方向性を引き継ぐハリス氏に決まるのか、再びのトランプ氏になるのかここから11月5日の投票日まで(結果は6日の日本時間に決まる見込み)いよいよ選挙が本格化していきます。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋しました。
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