今週は中国の国慶節休暇が明け、大型の景気テコ入れ策発表に期待が高まっていましたが、何も出なかったことから期待剥落の動きが出ていました。そうした中で9日、中国当局が「10月12日に財政政策について会見を行う」と発表しました。景気下支えに向けた財政政策の強化策を紹介、質問にも回答するとのことで期待感が強まっており、すでにリスクオン相場になっています。12日の会見においてモルガン・スタンレー、HSBCは2兆元規模の刺激策発表を見込み、シティグループは3兆元との見込みとなっています。一度マーケットの期待が剥落したことも当局は十分に承知の上での会見ですから、ある程度の期待できる内容が盛り込まれるのではないかと予想されます。
そのリスクオン相場で一気に米ドル高になっていますが、今後の金融政策の方向性については、9日に発表された9月FOMC議事要旨の中で、参加者全員が利下げを支持したことが確認されました。一部は25bpの利下げにとどまることを支持していましたが、9月に関しては予防的な利下げであること、また今後については「データ次第である」ということが再度示されました。つまりは1つ1つの経済指標の注目度が高まったことになりますので、さらに経済指標の発表スケジュールに注意していく必要があります。
現在149円台のドル円相場ですが、日足チャートを見ると、7月31日に年末年始以来の200日線を割り込んでいましたが、今再び200日線に向けて上昇しています。200日線は現在151円台の水準ですが、やや右上がりに転じてきました。週足は2回繰り返しの陽線つつみ足となっており、現在雲の上限で止まっています。期待される中国の経済政策の発表や、米国の経済指標が利下げを否定する好結果になれば、一気に上抜けとなりそうです。
中国の経済政策による期待感が出て来るのはそのほか豪ドルが挙げられます。隣国NZは今週50bpの大幅利下げを行い、政策金利は4.75%となりました。次回(11/27)の会合でも利下げが予想されていますが、豪は4.35%の政策金利を年内維持する公算で、各国利下げの金融緩和が続く中で現状維持を保っています。その中で中国経済が再び強まっていくのであれば、今の堅調さがまだ維持されていく可能性が強まります。豪現政権は再び中国との関係を強める方針ですから経済寄与が期待されると思われます。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋・追記しました。
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