日米の金融緩和策が出揃い、ひとまず落ち着きを見せるかと思いましたが、日本の政治不安や極東アジアの情勢不安も併せて、再び77円台まで円高が進行してきました。25日も安住財務相が「引き継ぎの期間に空白は生じない。最後の1分1秒まで徹底的にやる。」と強いコメントを出しましたが・・・鎮静化させるパワーはありません。
2月の金融緩和発表時点76円のドル円が84円まで急伸していきましたが、その上昇分はほぼ帳消しです。アメリカの景気指標は緩やかな回復を見せてきています。住宅関連は伸びを見せており、景況指数も悪化しなくなりました。予想より良い数字が続き、NYダウは2007年の上場来高値を狙う動きになってきました。株高ドル安政策の効果が緩やかに出てきていますね。またQE3は雇用が回復しない限り無制限で実施するということを明言していますので、失業率が改善しない限りはMBSから国債やその他金融商品に広がるのではないかという強い姿勢も知らしめています。
金融政策の強さを市場に浸透させられない日銀に対し、大きなエネルギーを見せつけたアメリカの図式で見ると、溢れるドルを吸収してまだしばらく円高を止められないのではないか。ドル円の週足一目均衡表でも80円台は重い上値の壁です。これをしっかり抜けて初めて次のトレンドを考察していきましょう。日銀の強力介入が無い限りは、秋はしばらく今の水準から80円下が続くのでは。
※こちらのコラムは毎週水曜発行の会員向けレポートから抜粋したものになります。