6月3日に発表された5月の米雇用統計は、市場の利上げ期待を剥落させる内容となりました。詳細については既報ですから割愛させていただきますが、この発表を受けて米株は利上げが遠のいたことで安定した動きになるも、為替市場はドル売り一色でドル円は106円台まで急ピッチで円高が進み、その他のクロス円もドル円に引っ張られて値を消す展開になりました。
その中でしっかりしていたクロス円通貨ペアが南アランドです。ランド円は、世界的な資源需要の低下、価格下落に加え、同国の政情不安が輪をかけてランドへの投資意欲を減退させ、一時7円割れの6・885円まで下落していました。ところが4日にS&Pが南ア国債を格下げしなかったことで、ジャンク級まで下げなかったことから安心感の買い戻しが入り、現在7円台まで回復しています。
この動きでFXニュースなどでは南アランドへの言及が増えてきていますが、来週はフィッチが同国の格付け見直しを予定しており、政情不安・ことにズマ大統領のスキャンダルはまだまだ終結していません。今の戻ってきたこの場面で買いに乗るのは早計だと思われますが、米利上げ期待が遠のき、鉱物資源に反発地合いが強まっていることから、ちょっと動きに注目しておきたい通貨です。
※こちらのコラムは毎週水曜日時点で執筆した会員向けレポートより抜粋・追記しております。