新年1月4日に発表されたNZの主要産品である乳製品価格を示すGDT価格指数は、前回と比較して-3・9%、1トン=3463米ドルとなり、このところ堅調な上昇を続けてきたのが、ここへきて2回連続の前回比マイナスとなりました。この乳製品価格ですが、ちょうど1年前は2458米ドルまで下落しており、2016年の1年間で約4割上昇しました。その1年前のNZドルは対円で82円台で年始取引開始しましたが、1月単月で76円まで急落し、その後68円台まで下落しました。全体的な円高地合いにも押され、かなりの調整が入ったことと、景気に対して住宅価格などインフレが進み過ぎていたことから、2016年3月、8月、11月の3回、合計75bpの政策金利引き下げを実施し、現在史上最低水準の1・75%となっています。
今後の方向性を考える上で乳製品価格の方向性は非常に注目が集まりますが、直近では前述の通りややマイナスが続いていることから、価格回復に歯止めがかかったという印象が強くなりました。しかし、中国での需要回復や、NZ、欧州、豪州など主要生産国での減産を背景に価格回復してきた流れが続き、今後数ヵ月で4000米ドルまで回復すると見る専門家もいます。
目先は、米国でトランプ氏が大統領に就任してTPPが実質的に無効になることで、その悪材料を既に織り込みつつも、NZ乳製品は一時的にマイナス要因が強まるかもしれません。ただしドル高が進めば、NZの国際競争力の高まりが国内景気の押し上げ起因にもなりそうですので、対円での月足雲上抜けを期待し、出直り地合いに注視したいと思います。
※こちらのコラムは毎週水曜日時点で執筆した会員向けレポートより抜粋・追記しております。