欧州の政治不安再びのごとく、スペインの政治不安(ラホイ首相の不信任が可決される見通し)やイタリアの政権樹立断念などが報じられましたが、イタリア国民の7割が欧州離脱を望んでいないということが報じられ、一旦落ち着きを取り戻しているところでした。
が、欧州不安の新たなる軸として取り沙汰されているのが、ドイツ銀行です。31日のフランクフルト市場で7%超株価が急落し、過去最安値に迫る動きになりました。既に年初から4割株価が下落していますが、今回は米紙報道で「ドイツ銀行の米国内業務に対してFRBが約1年前に問題を抱えた状況であると内部査定評価を下していた」と報じられたことに端を発しています。1日にはS&Pが同行の格付けをA-からBBB+に引き下げましたが、これは他の格付け会社も倣いそうですね。既に1万人近い人材削減計画を発表していたドイツ銀行ですが、この問題も欧州不安の一助となってきそうですので注意です。
今夜6月1日に関しては、アメリカの5月雇用統計を控えています。NFP予想の中央値は18万5千人(前月は16万4千人)、失業率は前月同様の3・9%見込みとなっていますが、もう少し弱めに見る向きがやや多い印象です。最近注目度の高い平均時給は、前月+0・1%に対し、今回の予想は+0・2%。このあたりの数字がドルを左右することになりそうです。雇用統計で利上げ期待が弱まるようだと、ユーロの買い戻しは一段と力強くなりそうですね。
※こちらのコラムは当ホームページ向けの書き下ろしとなります。