目先変化を見せる欧州2020.01.24

 ドイツ欧州経済センターが21日に発表した1月のZEW景気期待指数は、前月の10.7から大きく上昇して26.7という好結果になりました。この数字は2015年7月以来となり、米中問題が深刻化する中、特に中国との結びつきの強いドイツ経済には厳しい状況が続きましたが、両国関係の雪解け(一層の悪化がないという程度か)がうかがえたことで、目先的には安心感が広がってきている様子がうかがえます。

 ドイツは、先般のNHKスペシャルでも取り上げられていましたが、中国IT大手ファーウェイを筆頭に中国企業との結びつきを強めて、スマートシティの実現化推進を図る自治体があるなど、中国との関係は欧州の中でも密な一国です。またこれは欧州全体でもいえることですが、ファーウェイ社の世界最大の商品紹介イベントが開催されるのもスペインであるなど、欧州にはしっかり根付いています。この点も、これから欧州経済全体にとって安心感の広がりをもたらす一因になりそうです。

 さて、欧州と言えば英国の動向も気になります。直近の世界各国中銀の動向を見ると、いずれも金利据え置きの様子見状況です。その中で今月に入って出てきた雰囲気の変化として1月30日のMPCでは利下げ見通しがカーニー総裁をはじめ、BOE委員が突然利下げの必要性を言及したことから、一気に利下げコンセンサスが高まっています。世界が利下げ競争に一服している現状なら、政策変更にインパクトがありそうです。ちなみに今回のMPCはカーニー総裁のサヨナラ会合です。人気の最後に何かする・・・かもしれませんね。

 英国は1月末のEU離脱がほぼ現実的となりました。今のところポンドには大きな動きの変化はありませんが、これは既定路線ですから別段驚くこともありません。粛々と離脱に向かっているのだという程度です。今後はEUとの通商交渉など現実的に経済に過分な影響を与えることへの協議が大きくなりますので、それらがポンドの大きな材料になりますので引き続き注意は怠れません。

 ※こちらのコラムは毎週木曜日時点で執筆した会員向けレポートより加筆・修正しております。

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