先週当レポートで取り上げた失業保険申請件数ですが、26日発表の数字が天文学的な酷い数字(328万件)になったことはご周知のとおりだと思います。さらに、4月2日発表分では先週を大きく上回る悪化で、664万件ものすうじになりました。過去最悪を大きく更新です。
1日には、雇用統計の前哨戦と言われる民間の雇用統計・ADPが発表されましたが、こちらは月次ですから、予想-15万人に対して、-2.7万人と穏やかな数字になりました。偏に今の現状が全く織り込まれていない数値と言えると思いますので、参考になりません。このように今週末の雇用統計も先週書いたように現状が織り込まれていない可能性がありますから、今回の数字にはあまり信ぴょう性が無いと思っています。
ただし、現状の失業保険申請件数の結果を見ていく限り、次月以降の雇用統計の中では失業率が15%もの悪化になるのではないかという見通しもあり、推移を見守っていく必要があります。
さて、このような状況の中ではありますが、新年度相場がスタートしました。ドル円の3月期末の終値は107.56となりました。日銀短観による19年度の想定為替レートは、12月発表分で107.83となっていましたから、これから本決算の開示に向かう輸出企業の為替差損には影響が出ない水準となりました。最近の中では数少ない良かった結果ですね。しかし現実には、まず各国の外貨から凄まじい金利が失われました。すでに利下げだけではなく量的緩和に踏み切る国も多い中、外貨で利回りを得ることは非常に難しい状態に陥っており、これまでの外貨投資の概念が完全に焼失しつつあることになります。リーマンショックの時もすさまじい利下げが行われましたが、それでも直後の2009年当時は、豪ドルやNZドルには2~3%前後の金利が残っていましたし、豪ドルはその後一旦利上げに向かう場面もありました。
現在の政策金利は、
日本 | -0.10% |
アメリカ | 0.25% |
欧州 | 0.00% |
イギリス | 0.10% |
カナダ | 0.25% |
豪州 | 0.25% |
NZ | 0.25% |
多くの国から政策金利が失われましたので、ここからの外貨投資は一段とFXで為替差益を狙っていくのが一択になっていくかと思います。かつてないゼロ金利の事態ですから、円買いポジションを取っても支払いスワップ(金利)が負担になりません。株価が二番底に向かうような状況であれば、クロス円も再び安値に向かう動きになる傾向がこれまで多く見られましたから、3月安値に並ぶ動きを追っていくのも一考です。
※こちらのコラムは毎週木曜日時点で執筆した会員向けレポートを抜粋・追記しております。
◇◆◇横尾寧子 新刊 発売のお知らせ◇◆◇
~2020年2月14日 日経一面にも広告出ました!~
FXアドバイザー横尾寧子の新刊がこのたび発売されました!
FXに興味はあるけどまだ始めていない…初心者の方へ、取引の基本から儲けのポイントまでイラスト・図解で丸わかり!FXのしくみとは?トレードの仕方からチャートの見方、経済指標の見方まで、これ1冊でFXトレードがはじめられます。
是非、書店等でお求め下さい!
・発売日 : 2020年3月10日
・出版社 : 成美堂出版